辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2
──そうだわ。せっかくだからお近くで見たいわ。あ、でもセシリオ様はあんなに素敵なのだから、わたくしもきっちりしないと……。幻滅されたら大変だもの。
そう思ったサリーシャはすぐに朝の準備を始めた。まだ早朝なのでノーラも来ていないが、昨日王都に到着したばかりなので疲れているかもしれないと思い、そっとしておいた。部屋のクローゼットを開くと昨日のうちに全て準備しておいてくれたようで、中にはドレスが何着かかかっていた。サリーシャはその中から華美ではないが少しだけ飾りのついた、クリーム色のものを選ぶ。大急ぎでお化粧を施し、もう一度窓の外を覗いた。セシリオはまだ剣を振るっている。
「よかったわ、間に合った」
表情を明るくしたサリーシャはパッとそこを離れると、階段を小走りで降りて庭園へと向かった。