辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2
 いくつも並んだ窓は開け放たれているのか、風でカーテンが揺れているのが見えた。

「ようこそいらっしゃいました」

 すぐにプランシェ伯爵家の家令が出迎えに現れ、続いて一番末っ子のラウルが階段を駆け下りてくるのが見えた。

「叔父上!」

 頬を紅潮させて駆け寄ってくる甥を見て、セシリオは口元を綻ばせた。

「やあ、ラウル。一年ちょっと見ないだけで随分と大きくなったな」
「うん。この一年で八センチも背が伸びたよ。このくらい」

 ラウルは得意げに両手を向かい合わせ、セシリオに『八センチ』を作って見せる。見せられたそれはだいぶ大きく、三十センチくらいはありそうに見えた。

「それは凄いな。ところで、御母上と御父上は?」
「二人とも出かけているよ。もうすぐ帰ってくると思う」
「そうか。サリーシャは?」
「サリーシャ様は兄上といるよ」
「パトリックと?」
「うん」

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