辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2
 セシリオは親友、かつ自身の右腕でもあるモーリスの頼もしい言葉に口の端を持ち上げた。
 つい数ヶ月前にも王都に行って長期で領地を空けたせいで、セシリオは結婚式翌日から休みなくずっと働きづめだった。気付けば、サリーシャをどこかに連れて行ってやるどころか、殆ど二人の時間も取れていない。どこかへ連れて行ってやれば、サリーシャはきっととても喜ぶだろう。

「ああ、助かる」

 にかっと笑ったモーリスは、思い出したようにセシリオを見つめた。
 
「ところで、ダンスはどうなった? 王都で踊るから、最近練習しているんだろ?」
「ぼちぼち……」

 途端に眉間に皺を寄せて気難しい表情になったセシリオを見て、モーリスは声を上げて笑った。
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