婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

ディアナside①

「さあ、できたわ」

 書き終えた手紙を不足はないかもう一度見直し文面に満足して机の上に戻した。
 準備は整ったわ。あとはあの方を待つばかり。

 わたしはディアナ・マクレーン伯爵家の長女。
 この国の元第一王女を曾祖母に持ち、家系図には臣籍降下や降嫁で伯爵籍に入った王子や王女の名が記されている由縁でマクレーン伯爵家は王族の血統を多く持つ名門貴族です。そのため、わがマクレーン伯爵家は第二の王家ともいわれている。

 それゆえに貴族であるならば、マクレーン伯爵家のことは小さい頃から親から叩き込まれているはずなのですが。なんでも、巷では伯爵の機嫌を損ねれば首が飛ぶとまで言われているらしいですわね。今のところ、そのような事実はありませんけれど。噂とは恐ろしいもの。
 
 なのに、わたしのことを知らない貴族がいるとは思わなかったわ。
 学園でも皆さん弁えて相応しい対応をされておりますよ。相手が誰だかを知って尊重すればよいだけのこと。難しいことでではありませんけどね。

 伯爵令嬢風情って。自分はたかだか男爵令嬢のくせに。

 
< 26 / 262 >

この作品をシェア

pagetop