エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
邪魔する疑念


雅史の帰国を明日に控えた昼、楓はたまには外で食べようと病院からほど近いカフェへやってきた。白を基調とした爽やかな内装の店は、ホットサンドがおいしいことで有名だ。

妊娠検査薬はまだ開封せず、部屋の引き出しにしまったまま。しかし生理も遅れたままだ。

今夜こそ試そうと考えながらスタッフに案内されていると、「海老沢さん!」と不意に声をかけられた。
沙月だ。少し離れたテーブルで軽く手を上げている。


「海老沢さん、ひとりなら一緒にどう?」
「ありがとうございます」


同じくひとりの彼女の言葉に甘えて、向かいの席に腰を下ろした。


「白石さんはなにを頼みましたか?」


メニューを広げながら尋ねる。


「私はアボカドと煮玉子のホットサンド」
「あ、おいしいですよね」


少し前に来たときに食べたが、半熟卵のまったりとした口当たりで食べごたえもばっちりだった。
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