明るい照明の下、ドレスアップまでした私は赤い絨毯の上を歩く。
 周囲には大勢の人間がこちらに視線を送っているが、昔とは違って緊張することはなかった。ただ、自然と背筋が伸びるのは昔からからわからない。

「花宮こはるさん、第五十九回日本アカデミズム賞、主演女優賞の受賞おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか」

「光栄です。応援してくださった皆様、いつもお世話になっている周りの方々に感謝したいです」

 私の言葉に記者は「ありがとうございます」とお辞儀をする。
 その場から立ち去り、袖の方に視線を送れば玲二が立っていた。周囲の人に断りを入れ、彼の元へと移動する。

 高級スーツに身を纏う玲二の美丈夫さは俳優陣にも劣ることなく、むしろこの場では目立つほどだ。苦笑しながら近づいてきた私を見て、どこか意地悪そうに口端を持ち上げた。