[壱]狂愛~ これが愛だとしたら残酷すぎる
大雨のなか傘をささず嫌な想いを全て流そうと思って家を飛び出した

止まない雨…

このまま消えてしまえたらどんなに楽だろうか…

どこにも行く宛てなんかなくてまた家に戻らないと行けない…

嫌な顔をされるんだろう

早く消えてしまいたい

誰も私なんかを必要としていないんだがら

ツンツン…

へ?!

振り返るとそこにはフードを深く被った人

無理やり腕を掴んだまま私の腕を引っ張る男の手を振り払おうとしたけれど

行く宛てなんかない…

こんな状態の私を泊めてくれる人なんていない…

そう思い抵抗せずついて行くと綺麗なそれなりに高級なエントランス付きのマンションに入る

エレベーターの中に入ると片方の手は繋がれたまま45階のボタンを彼が押す

この時気づいていたら…

でももうこの男に見つかった時から遅かったのかもしれない

『!!ッ…なんで…夕暮くんが』

「あぁ?なんか文句あんのかよ!お前がホイホイ着いてきたのが悪いんじゃねぇの?」


その言葉に胸が一気にドット沈む

そう、誰でもよかった…ッ…でもこいつだけはやだった…

夕暮 奈緒…

私をどん底に落としていじめ続けた男

その場に崩れ落ちてしまう

腰が抜けた…

『帰る…、、、』

「はぁ?返すわけねーだろ」

『許して…もう家に返して』

床に水滴が落ちる

やだやだやだやだやだやだ…

ちゃんと確認しなかったから、、、

私馬鹿だ…

「何?今更後悔したって遅いから」

『最後まで私を苦しめないで!!』

「最後って…なにおまえ死のうとしてんのかよ」

『ギリ…ッ』

歯を噛み締める

悔しい…何も出来ない自分にイラつく

彼が急に私を横抱きに抱えようとするから離れようとし暴れると耳元で囁く

『殴られてぇのか』

その言葉に一瞬で怯んでしまう自分…

怖い…

お風呂場に着くとボタンを押す

お風呂を沸かしているのか湯気が出てくる

「早く脱げよ、めんどくせぇ」

『ヴッ…嫌…!!』

「はぁ…仕方ないよな」

そう言いながら無理やり全部脱がされる

「何度も見てるから、大した体してるわけじゃないんだからさ、マジでウザイんだけど」

『ッ…ごめんなさい』


彼も裸になると私を抱き抱えて一緒に湯船に浸かる

彼のものが当たっていて、密着しすぎて


やだやだやだやだやだやだ…

3角座りでなるべく触れないようにしようとしてるのに

ワザと後ろから肩を抱き寄せられる

ッ…あたって/////

『へっくしゅん…』

「もっとちゃんと浸かれ」

その言葉に目が点になり言葉が出ない

彼が私に気遣いなんて…

『…』

「もういい…顔赤い…、のぼせるだろうから先洗え」

そう言われたので椅子に座って髪の毛を洗おうとシャンプーと書かれたものに手を伸ばすと彼が湯船からその手を遮るとシャンプーを手に取り私の髪の毛を洗い始める

『や、…何で…自分で』

「うるさいから、黙ってろ」

言うことを聞かないと何をされるか分からない怖さで何も抵抗できない

ポタッ…シャンプーが目に入りそうになりギュッと目を瞑る

トリートメントも全て終わった

『身体は自分で…する…』

「…は?」

その冷たい冷酷な視線に一気に心が空っぽになるのを感じる

なんでこんな辱めを私が受けないと行けないの…

あなたに何をしたの?

全身現われる足を閉じても無理やり開かされ全て現れる

もうヤダ…!!

流したと同時に直ぐに逃げようとするけれど自分のも洗えということなのか無理矢理洗わされる

でもどうして…あんなところにこの男がいたんだろう

「ぼーっとしてないで早くしろ」

シャンプーを手に取り頭を洗う

暗い茶色の艶のあるサラサラの髪の毛…

スッキリした綺麗な顔立ちに陶器のように白くて綺麗な肌

透明感のある宝石のようなシルバーの瞳にまつ毛

色っぽい綺麗な薄い唇

いつも付けているシンプルなリングのシルバーのピアス

怖くて逆らえない…けれど

誰もを魅了するような、そう、目でついおってしまう容姿をしている

鏡越しで目が会いドキッと胸が鳴り響く

怖い…

洗い終えると体は冷めきっててもう一度湯船で温められる

のぼせそうになり湯船から出ると大きなふわふわのタオルを頭の上に投げられる

もふもふ…/////

同じ下着をつけようと手を伸ばすとその手をはねのけられる

痛い…

彼のであろう黒のオーバーサイズのtシャツを
着るとダボダボ…

この男こう見えて身長が183cmくらいあるからスボンなんてもっと合わない…

肩がズレてくるのを直す

渡されたタオルでずっと髪の毛をふき取っているとドライヤーだけを持って私の腕を掴んでベッドに投げ捨てる

髪の毛にドライヤーが当たる

乾かしてくれてる…

なんで…

こんなに私に尽くしてるの?

乾かし終えると自分の髪の毛は適当に乾かしてそのままソファに座る私を押し倒す

抵抗なんて出来なくて、顔を背け片方の手は透けている胸を抑え

もう片方の手は太もものシャツを下に引っ張る

細い指で耳元に触れ肩を掴まれると耳元で囁かれる

「犯してやるよ思う存分」

バチン!と叩こうと手を挙げたけれど止められる

「抵抗するならあいつらも呼ぶけど?」

ブルッ…

やだやだやだやだやだやだ

『お願いします…これ以上は』

「早くしろよ…」

馬乗りになり首元だけにキスを落とす

「下手くそが…」

『ッ…』

その夜はこの日の雨のように激しかった

﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎

んー…気持ちいい

ピピ…ピピ

うるさいなぁ…

『んー、まだやだよぉ』

そういいもふもふとした布団に抱きつく

「本気で起きねぇのか」


その声に目がパチっと開き飛び起きる

「ッ…/////」

昨日の全てを思い出し頭が真っ白になり、後悔が重なる

もう昨日のことは思い出したくない…、、、

初めては強引で優しくなんかなくて痛かったけれど認めたくないほど彼に溺れてしまったのも事実…

昨日は夏休みの初めの日だったから学校はないのに…

一昨日まで彼らにされていたことは普通ではない…

イジメだ…

毎朝学校に行くと机や持ち物全てに落書きがされていて、トイレに行ったら水をかけられ、酷い時は便器に顔を突っ込まされた時もあった、男子トイレに入れられ違うイジメられっ子が裸にされ謝ってる姿を目の前で動画にとったり、私も裸にさせられたがこの男の前だけだった

でも写真も動画も取られて、それまで仲良くしていた幼なじみの親友の子も私を他の子と一緒にグルになって眺めるだけ、唯一助けてくれた男の子はいじめにあっている

親は助けてくれない…

義弟は何故か私を好きだという…

やだやだやだやだやだやだ…、、、なんで私…こんなにも、クッ…、、、

高校一年生の春から目をつけられ苛められ今高校三年生の夏までずっとだ…

あと少しの辛抱だとずっと思ってたのに…

「何その焦った顔…なんか文句あんの?」

『…』

「服…カタログ置いておくから選んどいて」

『え、なんで…』

「お前…これから俺と住むから」

『…いや』

「何?小さすぎて聞こえないんだけど、」

『やだって!言ってるの!』

大きな声で目を閉じて思いっきり声を放つ

「ふーん、そんなこと言っていいんだ、帰るとこなんてないくせに」

低い声に怒っていることがはっきりと感じられる

ドクン…

警察に行っても何もならない弁護士にお金を払ってもそう何もならない…ソレには理由がある

私の両親の従兄弟の息子である彼は夕暮財閥の次男であり、総合病院の跡取りになる

その総合病院のトップとして彼が成人して働くまでの代わりとして働いてるのが私の両親だ

トップじゃなくなっても将来が約束されているのは確かで

両親は私を容易く決断したことが一目瞭然だ

「荷物は如月に取りに行かせたからお前は待っとけばいい」

『…わかった…お母さんとお兄ちゃんとの写真ベットの裏に隠してるの…』

「わかった…」

喉が渇いて水道水を手で救って飲もうとすると止められる

「何してんの?冷蔵庫の勝手に飲んでいいしここの家のものは勝手に使っていいから、、、次からいちいち言わせるなよ」

『あ、…はい』

冷蔵庫から水のペットボトルを恐る恐る出しガラスのコップに注ぐ

「…それ終わったら」

真剣にしていたせいか周りを見ていなくて

『へ?!』

急に後ろに立たれて驚いて肘が左のガラスの注いでない方の高いグラスにあたりパリン!っと音が鳴り響き

咄嗟に片付けようとあせって集めて拾おうとすると

方を掴まれて後ろに押し出される

『あの…ごめんなさい…』

「もう何もしないで…如月にあとは任すから家からも出るな」

『…グッ』

「いい子にしてろ」

そう言い捨てると男が着替えて家から出ていく…



入れ替わりに如月という黒いスーツ姿の長髪の髪の毛を一つくくりにしいかにも秘書で賢そうな人が入り荷物を私に届ける

「如月 弥生と申します。以後お見知り置きを。なんでも命令してくださいね。」

ニコリとされるけれど…にこりとなんて返す余裕はなくどんな人かもわからずただ怯える

荷物だけ受け取り如月にはどうせ逃げれないからと玄関に近いソファなどが置いてある部屋にいて貰うことになった


彼女がいなくなると部屋の端っこの地面に座り込んで中身を取りだしあるものを探す

さっき言ってた写真…優しかったお母さんも、いつもお世話してくれたお兄ちゃんも交通事故で亡くなった

私…ひとりぼっちで悲しいよ…

一緒にいたいよ…

呼吸困難になりそうなほど涙が止まらなくヒクヒクする

誰にも知られたくなくて、ティシュを何重にもして息を殺して泣き続ける

逢いたいよ…

﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎


『…ッ』

ふかふかのベットの上で眠っていて驚くけれど

目が腫れているのか目が重く感じる

時計を確認するともうお昼の13時

「冷やしておきますね」

ひんやりとしたタオルを目元に置かれる

気持ちがいい…

隣の部屋にいてと頼んだはずだけれど…

それよりも、しなきゃ行けないことがある

起き上がりダンボールの荷物の所へ行くと勉強セットを持ち出す

もう高三なのに…あの時から時間を見つけてはちょこちょこ勉強していたけれど、勉強した割にいい成績は残せていない

夏休みが開けたら学校のテストがあり、その後には直ぐに模試テストがある

志望校を決める大事なテスト…

適当に受ける訳には行かない

勉強に集中して暗記をしようとするけれど後ろにいる彼女の視線が気になる

『ごめんなさい…ずっと監視されるのは気分が良くなくて、良かったら』

「はぁ…私は奈緒様の命令の元で貴方に従うつもりです、監視はしなければならないといけないので…先程は違う部屋に行ったと見せかけてずっとこの部屋にいました」

へ?!

そ、そうなんだ…


もう仕方ないよね、、文句言っても

「お昼ですが、ミートパスタを用意しました。食べてください。」

『ありがとう、、、後でいただきます』

少し勉強を終えると食事をした…

美味しかったが緊張してるのか味がしなくて
少ししか食べられなかった

その後も勉強を続け19時になると彼が帰ってきたのか

ピーンポーンという音が鳴り響くと私ではなく如月が出る

「お帰りなさいませ、奈緒様」

「お前はもういい後で報告書をメールに、お疲れ様」


何かを話しているのかよく聞こえないが仕事の話なんだろう…

あと私が悪いことをしていないか…

お出迎えするのか迷った末リビングの入口で立ち尽くす私…

「何してんの?お帰りも言えないわけ?」

『…お帰りさない』

視線がズレたと思ったらリビングの机に広がっている教科書を上から眺める

「勉強ねぇ…しても意味ないのに」

しても意味が無いって…

私大学行けないってことなの?

『…私大学…進学するよ』

「はぁ…何勝手なこと言ってんの?」

『グッ…』

グッと歯を食いしめギリっとなる

あなたの元を離れたい…

いつかは飽きる…

大学は出ておかないと就職しにくい世の中…

本当に自分勝手な人だ

「口で、それするな…傷つく」

『何言われたって!、大学は絶対に行くから!!』

そう言った時には相当怒っていて押し倒され思いっきり耳元にグーパンチをする

ビクッ…

怖い…


助けて、

ピーンポーン ピーンポーンピーンポーン

鳴り止まない音

『…』

助かった…

「もう早く出てよー、なおー」

『!?』

やだ…なんであの人達がこの家に、、、

複数人に虐められるあの視線…怖いこと知ってる…

なんで人間は複数だとあんなに強くなるんだろう…

今あの人たちが入ってきたら私はタダじゃ済まされない…

'インターホーンの前にいる彼に近づき上に着ているティシャツの背中を両手で掴み引っ付く

『夕暮くんだけがいいから、呼ばないで』

「ッ…それどこで覚えた」

ピッ…

ボタンで消されると空が後ろを向いたから掴んでいる腕を離す

「…」

『どうしたの?…夕暮くん』

急に腕を捕まれ腰を支えられた

グイッ…

ちゅ…ちゅッ、、、ッ、、、ちゅ…

首元に顔を埋め何故か痛くて甘いキスの雨を降らす

ピーポーンピーポーンピーポーン

『あの…近所迷惑じゃ…』

「…部屋から出てこないで」

そう言うとインターホンのボタンを押す

奈緒「…何?」

「なおー、、開けてょー、新がさー」

この声は、大室 結衣

女の子よりも可愛い用紙を持っている男…

二重のクリっとした大きな薄いオレンジの瞳

サラサラのパステルオレンジ色の髪の毛

印象的な可愛さを増す八重歯

いつもお菓子を持っていて常に飴などの可愛いお菓子を食べている

彼からいじめは直接的に受けたことは無いがいつも酷い言葉を私に言い、精神面で追い詰めようとする男…


もう1人は 清水 楓

センター分けにしているパーマの効いた黒い青の髪の毛

暗いブルーの瞳は釣り上がり、キリッとした眉毛

顎にもピアスがあり、指にもリングなどをはめアクセサリー類が多い

いつもタバコを吸っていて、周りには綺麗な女の人達がいる

こいつらが…南條くんを、、、

身体が震える

もう一人いない、新庄 新は

薄いミルクティー色の髪の毛をふわりさせた

ただ綺麗な男…

色素が薄い…女子のあこがれの存在でもあるかもしれない

いつもツンとしていて成績もよく少しチャラそうに見える外見でも根は真面目だと有名だ

そんな彼とは幼馴染だったから知り合いではあるけれど小さい頃から私をいじめてきて根が真面目な噂は嘘に決まっている



「何だよ…家来んなっていっただろ」


「えー奈緒と一緒にいたかったのに…」

仲がいい…

私もこんな家に呼べる友達が欲しかった

彼が何を言っても引き下がらない彼ら

すごく好きなのが伝わってきて

羨ましいのと同時にイラつきが生まれる

こんなに仲良くて、普通の人なのに…なんで…どうして、人を虐められるの?

「結衣、奈緒が怒る前に帰ろーぜ、南條のとこ遊びに行こーぜ」

その言葉を聞きインターホンの横に付いているオートロックのボタンを押すとカチャと玄関のドアが開く音がして

彼が驚いて私を見る

起こってる…

ガチャ!

「なおー、焦らさないでよーってその抱きしめてる子誰?あれもしかして花咲ちゃん?」

「奈緒、帰るぞ」

「えー!面白そうなのにぃ…」

そんな会話が聞こえてくる

隠すように抱きしめられている私は怒っているであろう彼の顔なんてみれない

でも帰ろうとしてる彼ら、、、

このまま南條くんの家に行かれても困る…

唯一私を助けてくれた人だから

『お願い、南條君にこれ以上酷いことしないで…何でも言う事聞くから』

「…」

私を抱きしめたままスマホをポケットから取り出すと何かを打つ

﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎

南條は飽きた、もう一切関わんな


正直飽きてた、

りょーかい👍、あんまり兎さん虐めたらダメだよー

﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎ ﹎

「これでいいんだな」

そう言うと私をベッドに押し倒してくる彼

『なんでも言うこと聞くってゆったけど1つだから!』

「じゃあさ、めんどいからさぁ…いちいち怯えんなよ…うざいからさ」

ビクッ…

そんなの守れない…

怖いものは怖いんだ…

蛇に睨まれた蛙なんだから

「守れねぇ約束なんてほんと意味ねーな」

『ごめんなさい…』

「まぁもうどうでもいいけど…疲れて休みたいからそこ座って」

言われた通りソファの橋に座りその上に彼の頭が乗っかる

大きめのソファだから背の高い彼でも楽に寝れるのだろう…

こんなふうに目を瞑っていたらただの綺麗な男の人なのに…

「何ジロジロ見てんの?休めないんだけど…疲れてんだから癒してよ」

『…はい』

癒すって…

優しくサラサラの髪の毛に触れながら頭を撫でる

気持ちいい…

どうしたらこんなにサラサラになるんだろう…生まれつきだよね

どれくらいそうしていたのかなんて分からないけれど何故か穏やかな時間だった…

すぅすぅ…

寝息が聞こえる…私動けない…

そのままソファの背もたれにもたれ眠ろうとしたけれど

パチッと覚めて今までのことがフラッシュバックする

目の前で眠っている男がいなければ…

両手を男の首元に当てて握ろうとした瞬間その手を止められる

ギロッ…

いつから起きて…

殺そうとしたなんてバレたら私が締められる

そんな目で見ないで…

「…」

「何してんの?」

『ごめんなさい…ぼーっとしてて』

「あっそ」

はぁ…危ない…夕暮くんも寝ぼけてるのかも…

見逃してくれてるうちにご機嫌とらないと…

そう思い横になっている彼のおでこの髪の毛をサッと上げてちゅっと軽いキスを落とす

目を見開いた彼…驚いてる…

「ねぇ…お前さ何したいの」

彼は腕を顔で隠し起き上がる…

『あの、気持ち悪かったよね…ごめんなさい…もうしな』

「いちいち俺に謝らなくていいから、癒してくれたんでしょ?」

『うん…』

何とか誤魔化せた、、、

その後は何もされず一緒にお風呂入り、一緒のベッドで抱き枕にされながら眠る

そんな日常がすぎた頃

ある日、彼が出かけようと言い出した

それもネズミーランド…!!

ずっと行きたかった…

行ったことが1度もなかったから…

『行ってもいいの?…』

「何、やなわけ?」

『うんん、行きたい…!!』

自分が持っている一番可愛いうす緑色のワンピースに下はちゃんと見えパンを履く

髪の毛はハーフアップにして薄い垂れるリボンを付ける

着替え終わると彼が待っているリビングのソファに行く

パソコンの前でなにか難しそうな顔をしている…

『あの…夕暮くん…準備できた』

「ふーん、何その服、出かけるって言うのにほかの男誘う気満々だね」

『ちが、…』

グイッ…

ビリ……

『!!』

破っ…

「何その目?喧嘩売ってるつもり?」

『着替えてきます、、』


そういい自分の部屋として用意された荷物おきの部屋で縮こまる


もう行くの行かないのなんてどうでもいい

なんで私ばかりこんな辛い思いを…

ダメだ…

辛いのは私だけじゃないんだから

学校が始まったら気が変わるかもしれない

「何してんの、、、早く着替えて」

『…うん』

ショートパンツに履き替え出ると腕を引かれ車に乗り込む

久しぶりに外に出た

ずっと室内にいたから心がくもっていたのかもしれないいつも以上に

セミの音が聞こえ夏の暑さのせいでムシムシする

車の中で下調べと言っていいか分からないけれど乗りたいあクラクションや、食べたいものを見漁る

可愛いものが多いなぁ…

でも今日の目標はモチモチもふもふ兎のぬいぐるみを買うこと…

小さくてもいい抱きしめられるサイズのものが欲しい…

ずっと子供のときから好きなキャラクターで今もずっと好き…

可愛いんだよ

横では私の肩に顔を乗せてぐっすり眠る夕暮くん

ぐっすりかは正直今までの経験上分からない…

.*・゚ .゚・*.

パークに着いた…!!

可愛い…

気分が上がってついつい笑顔が溢れてしまう

横にいる夕暮くんはいつ目冷たくて怖い顔をしているけれど優しい笑顔を向けてきて

何故か胸が高鳴る

こんな男に胸が高鳴るはずがない…

今までされてきたことを思い出し、冷静に戻る

まだ、奥の方にあるフワうさランドは遠くにある

手前の店に入りカチューシャを選ぶ

可愛いなぁ

うさかわのカチューシャにしようかな…

試しに着けてみようと手を伸ばそうとするけれど上の方にあり後ろから手が伸びたかと思うと彼が取ってくれて

急にこちらをじっと見出し、つけてくれる

『あ、ありがとう/////』

少女漫画のカレカノみたいなシチュエーションに胸がドキリと高鳴る

私だけが浮かれてカチューシャとかあんまり良くないと思い、

フワうさを食べてしまう魔獣のキャラクターの狼の茶色の耳が着いたカチューシャを手に取り、横にいる彼につけようとすると

ダメと言われると思ったのに腰を低くして頭をこちらに寄せつけやすくしてくれる

『夕暮くん…その似合うね』

一旦外してお会計を済ませてくれる

カチューシャをするだけで気分が上がってしまう…可愛い…!!

今回買ったのはタレミミの兎のバージョン

ずっと夢だった

そういえば南條くんも前にモフうさの話をしたら妹が好きだって言ってたなぁ

いつもお世話しててお出かけできないって言ってたから何かプレゼントととして買いたい

少し考え事をしていたせいか早足になっていた私後で電話がかかってきたのか耳元にスマホを当てる彼とはぐれないように、さりげなく手を握る

「ッ…?!」

電話してるから邪魔をしないように行く方向に向かって前を向いて歩く

横に歩く女の子たちがチラチラ私たちのこと見ていて視線を感じる

夕暮くんは今までそんなに気にしていなかったけれどこの容姿だから目を引かないわけが無い…

電話が終わったのか歩いている途中で今どきの可愛いジュースを買ってくれる

優しい…

ゆるふわうさランドに付くと可愛いすぎる空間に感動して手を胸元で握りしめる

可愛すぎる

お財布の中身を確認して回る

お目当てのお人形さんの前に立ち、どれくらいの大きさで、何色にするか迷ってしまう


どれも可愛いけれどノーマルのにした

可愛すぎる…大きさは抱きしめられくらいの大きさの40cmくらい…

これは絶対に買う

文房具の前に立つけれど何故か手が震える

どうせ買ってもゴミになってしまうから

学校に持っていかなければいいのだけれど

急に気分が冷めてしまい手元にあったゆるふわうさのお財布をピンクとノーマールのものを買いお会計を済まそうとすると彼が横に来てカードを出すから気分が落ちる

『悪いよ…私自分で買うから』

「何?文句あるの…」

『…』

早く帰りたい

もっと満喫したかったけれどもうそんな気分じゃないから…

少し1人になりたくてお手洗いに行くと言って並ぶ…

女の子は行列ができていて大変だ…

並び終わって外に出ると

彼は可愛らしいベンチに座って待っていてくれる

腕にフワうさを抱き抱えてその姿が何故か可愛くて見えて写真に収めようとする


カチャ…こっそり撮ったらバレないよね…

そう思い撮れた写真を眺めると

横にいた、可愛い格好をした綺麗な女の人達が私を睨みつける

「今さあの彼を盗撮してなかった?」

「そういうのダメだと思うなぁ…うなは」

「笑やめなよ、怯えてるじゃん」

『私…その彼の、彼の知り合いで…』

「知り合いでも盗撮するのって無理だわァ」

ズン…どうしたらいいの

「何してんの?遅いんですけど」

「やばッ…!!」

「かっこいい…」

「この子勝手に貴方のこと盗撮してたから…止めようと」

お姉さんたちの心の声が漏れている

『夕暮くん…』

「黙れよブス…」

『ッ…』

わかってるよ…可愛くないことくらい…

そんなことでも言わなくてもいいじゃん…

「だよねぇ…良かったらうちらと回らな…」

「ブスって聞こえなかったわけ?耳悪いなら眼科いけよババァ」

「ッ…!!」

顔を真っ赤にして怒って消えていってしまった

私に言ったわけじゃなかったんだ…


良かったと同士に盗撮したことがバレて怒られると感じる


「何撮ったわけ?」

『…』

すっ、…

彼にさっき撮った写真を見せる

「俺もお前の写真欲しいんだけど」

『へ?!冗談だよね』

「わぁ!お兄さんとお姉さんお似合いのカップルですね!良かったら写真取りますよー!!!」

ネズミーランドのスタッフさんの笑顔と元気に押し負けてスマホを差し出す


「持ってるのフワうさですね♡めっちゃ可愛いですよね♡写真を撮るとここの場所限定でキーホルダーをプレゼントしてるんですよ!」

『撮ります!!いい?夕暮くん?!』

ちょっと強制的にしちゃたかな?

「笑顔ーデー!!はいチーズ!!♡」

カチャ、カチャ

『ありがとうございます!!』

「はいこれどうぞ!良い一日をお過ごしくださいいねー!!!!」

可愛い…キーホルダー

「お前そこに立て撮ってやる、さっきの盗撮の見返り、」

『あ、うん』

後ろの背景にフワうさが映っていてついテンションが上がる

胸にはお人形を抱き抱えて

耳にもカチューシャ

モフモフのキーホルダー

にお土産

『/////』

この空間幸せ…

とびっきりの笑顔で微笑む

「ッ/////」

『撮れた?夕暮くん…』

「ちゃんと目開けろよ」

『あ、ごめんね』

恥ずかしい…!!

もう一度撮り終わったと思い彼に近づくとそっぽを向かれた

私だけ浮かれちゃったよね

少し休憩しようと思いカフェに入る

女の子の視線がぐっと集中して落ち着かない…

やっぱりモテるよね、、


こういう人が多いところに最近来なかったから忘れていたけれど不釣り合いだと実感させられる

ズキッ…

何故か胸が痛む…

遊園地を思う存分満喫し、帰りの車に乗り込むとはしゃぎすぎたの眠気が襲ってくる

知らぬ間に彼の肩に寄り添ってしまっていてビクッと起きようとすると

ダメじゃないのか何も言わない彼…

落ち着かない…

家に着くといつも通りお風呂に入り、一緒に眠りにつく

最近どうしてこんなに優しくしてくれんるだろう

思い上がらせてどん底に落とそうとしてるの?

もう心が壊れちゃうよ…

優しく撫でて私を抱きしめるけれどその優しは一体何?

何が目的なの?

夏休み明けの学校が近づくに連れてこの思いが大きくなると同時に怖くなる

ぎゅっ…

目の前にある胸元の彼のティシャツを握りしめる

あんなにも憎んでいるのに…

心が苦しいのに…

私は何を悩んでいるの?

ねぇ、答えが欲しいよ…

わかってるのにこの答えは間違ってる

そう全てが間違い…

これ以上私を苦しめないで…




[壱]狂愛~これが愛だとしたら残酷すぎる












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