「ちょっと寒いかな」

 そのまますぐそこの暖房がきいた応接室に入れば良かったかもしれない。

(けどあの部屋にはベッドがないし、それに――)

 実篤(さねあつ)はちょっと迷って、結局くるみを抱き抱えたまま廊下を抜けると、突き当たりにある十畳間――自室――に彼女を連れ込んだ。

「ここ……」
「――俺の部屋」

 不安そうに自分を見上げて来るくるみに端的に答えると、腕の中の愛しい彼女をベッドにそっと下ろしてもふもふ手袋を脱ぎ捨て、暖房のスイッチを入れる。

 そのまま性急にくるみの上に覆いかぶさるようにして彼女をベッドに縫いとめながら、付けっぱなしになっていた頭の獣耳(ケモみみ)も乱暴に外してベッド下に落とした。

「ホンマは部屋が(ぬく)もるまで待っちゃげたいところなんじゃけど……ごめん。――俺が待てそうにないけん」

 言いながら、実篤が熱っぽい目でくるみを見下ろすと、

「実篤さんだけズルイ。一人だけ耳も手袋も外してからに。何かうちだけ取り残されてコスプレしちょるん、恥ずかしいじゃ……?」

 照れ臭さを誤魔化すためだろうか。

 くるみがわざと悪戯っぽく睨み付けてくるのがいじらしくてたまらない。

 実篤はクスッと笑ってそんなくるみの唇を指先でなぞった。

「ねぇ、それ、本気で言いよぉーる? 今から俺、くるみちゃんが着ちょるん全部脱がして、もっともっと恥ずかしい格好にするつもりなんじゃけど。――今からそんなで耐えられそう?」

 わざと声を低めて意地悪く問いかけて。
 くるみの口元をなぞっていた指を彼女の頬に添えると、実篤はグッと顔を近付けた。

 そのまま唇が触れるか触れないかの距離で一旦止めて、「口、開けて?」とささやくようにくるみをそそのかす。