eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
プロローグ
沸き立つようなオーディエンスの歓声が聴こえる。
勝敗が決まったんだろう。
鳴り止まない拍手とともに、彼は舞台袖に歩いてきた。
「ヤマト、勝ったんだね」
「ああ。春奈も勝ったんだよな」
「……もちろん」
次の決勝――世界大会へのチケットを賭けた戦いの相手は、ヤマト。
私の憧れで、大好きな人。
好きな人と、こんな大きな舞台で戦うことになるなんて……あのときの私は想像もしていなかった。
私より身長が20cmも高い彼の視線は、まっすぐ私にだけ向けられていた。
その視線を、逸らさずに見つめ返す。
「春奈、手加減しないから」
ヤマトはそう言うと、ゆっくりと顔を近づけてくる。
私は瞳を閉じて、ヤマトに初めて会った日のことを思い出していた。
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