eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
『ヤマトさん、ありがとうございました』
私はヤマトの対戦部屋を退室する。冷たいお茶を飲みながらヤマトの配信を見ると、チャット欄はすごく盛り上がっていた。それは、ヤマトに対する賛辞はもちろん、私へのコメントも多くあった。
『ハルさんほんと何者?』
『ヤマトとほぼ互角に戦える人がいたなんて』
「私、こんなにも人に注目されるなんて初めてだよ……」
引きつった笑いが出る。ヤマトは私との戦いのリプレイを見ながら、コメントを返していた。
「うん、やっぱり。ハルさんかなり反射神経いいですよね。攻撃も目で見えてるのがわかるし、コンボもアドリブ混ぜてくる。めっちゃいい人と出会えた」
ヤマトに出会えて感謝したいのはこっちだよ。退屈で、つまらない毎日がこんなにも変わったんだから。
私はチャット欄にあらためてお礼のコメントを打ち込む。
『対戦とても楽しかったです。ありがとうございま――』
「ハルさん、今度オフで練習するんですけど、良かったら来ませんか? 猛者ばかり集まるので絶対楽しいし、もしよければなんですけど……。上位でストロベリー使いってなかなかいないので、お互いにいい機会になると思うんです」
ヤマトは少し恥ずかしそうに額を掻く。
途中送信してしまった私のお礼コメントは、すごい速さで流れていって、そのうち見えなくなってしまった。