eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
第2話:オフ
「とってもお似合いですよ」

「あ、ありがとうございます」

私は美容室の鏡に映る自分に向かってお辞儀をする。そんな私を見て、美容師さんはくすくすと笑った。

「ふふ、本当に可愛いから自信もって! 今日はデート?」

「いや、デートじゃなく……」

「オフ会です」そう言いかけてやめた。まさかこれからプロゲーマーの集まるオフ会に参加するなんて、信じてもらえないだろう。自分でもまだ信じられないくらいなのだから。

あの配信から二週間、ヤマトの練習オフ会に私は参加することになった。

ライブ配信での評判も良かったらしく、私との試合動画もゲーマー界隈ではかなり噂になったそうだ。

私としてはヤマトと現実に出会える機会なんて願ってもないことだし、ふたつ返事でOKした。

しかし、当日になって不安がこみ上げてくる。

もし、嫌われてしまったら……。

この数日で私は、「ヤマト 好みのタイプ」「ヤマト 彼女」等と検索をしまくった。だけど、ヤマトの浮いた話は全然出てこなかったのだ。


メイクも考えて、美容室にも行った。この短い期間でやれることは全部やった。もちろん、アタックウォリアーズの練習も。

オフ会の場所はそう遠くなくて、電車で一時間ほどの場所だった。

私は電車を降りて、ヤマト達との待ち合わせ場所でもある駅の出口へと向かう。スマホを見るとヤマトからメッセージが届いていた。


『お疲れ様です。さっきソウマと合流して、東出口のコンビニの前にいます』
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