eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
タイマン(1対1)のルールで、順番に戦っていく。
ゲームをプレイしながら聞いたんだけど、マンダムさんはどうやら顔出しを解禁するらしい。

その理由は、今度のアタックウォリアーズの大会に出場するため。

大きい大会なので実際に動画配信があるらしく、出場をするためには顔出しをしなければならないとのことだった。


「まぁ、大学を卒業したらどちらにせよ出すつもりだったんでござる。少し早くなるだけ。今のうちに大会出場の実績を作った方が、事務所に入るにしても有利でござるからなぁ」


変わった喋り方だけど、マンダムさんも将来を見据えてゲームをしていることがわかった。
それに比べて、私は高校卒業後はどうするんだろう。まだ、何も考えられなかった。

「だから、今日は宅オフでトレーニングさせてもらおうと思ったのでござる! 好成績を残せば、事務所にしても就職にしてもアピールできるでござるからな! あ、拙者が就職を考えているのはゲームを作る会社の――」



「ハル……は、大会とかでないの?」

マンダムさんの話を遮り、ヤマトが話しかけてくる。
隣に座っていて緊張しているのか、顔は合わせてくれなかった。

「まだ、何も考えていない……今はただ、アタックウォリアーズが好きなだけだから……」

「本当は、ヤマトも好きなんです」という言葉は胸のなかにしまう。

この日、私達は夕方まで戦ってから連絡先を交換した。




――このときはまだ、あんなことが起こるなんて想像もしていなかったんだ。

< 27 / 104 >

この作品をシェア

pagetop