eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~

名前は……ヤマトっていうんだ。顔もそうだけど、名前も男らしいなぁ。

「よし、勝ちました!」

見た目とは違い、物腰柔らかい口調でヤマトは勝利を宣言した。ライブのチャット欄には次々と称賛のコメントが書き込まれていく。チャンネル登録者数は――

「じゅ、10万人!?」


ものすごい数。このヤマトという人は、とてつもなく人気があるようだ。


「みんな応援ありがとう。まだまだプレイするよ」


画面の中のヤマトがこちらに笑顔を向けた。不覚にも、胸が高鳴ってしまう。
な、なんでこんなのにドキドキしてるんだろ。
それにしても、本当に楽しそうにゲームをしてるんだなぁ。この人。
活気に溢れた表情で対戦画面を見ているヤマト。

私はこんな表情で何かに取り組むことがあっただろうか……。

それからというものの、私はヤマトのゲーム実況を毎回見るようになった。楽しそうにゲームをプレイしたり、真剣な表情のヤマトを見ていると心がとても満たされたのだ。
何より、あのヤマトの柔らかい声が、私の無気力な毎日を埋めてくれるようだった。

< 3 / 104 >

この作品をシェア

pagetop