eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
第4話:決意
むせ返るような暑さのなか、私はヤマトの家の前に立っている。
ヤマトの家は郊外で、自然豊かな地域にあった。
「それにしても、大きすぎない……?」
目の前には大きな平屋の豪邸。和を感じるその家は、荘厳な雰囲気さえある。
ヤマトってイケメンなうえに御曹司なの?
庭からは水が流れるような音が聴こえる。
ぜったい、ぜったいお金持ちだ。
私みたいな一般人が来て良かったのだろうか。
――あの日、配信で「大会にエントリーする」宣言をした反響はすごかった。
応援する声も、私をバカにする声もたくさんあった。
「謎のプレイヤーの正体がついに⁉」なんて、読者を煽るようなメディアまであったくらいだし……。
私は、私が思う以上に、アタックウォリアーズ界隈を賑わしていたらしい。
それは怖いことだけど、戦うことを決めたからもう逃げない。
大会まで1ヶ月しか猶予はなく、毎日トレーニングに励まなければいけなかった。
そんなとき、ヤマトから連絡がきたのだ。
「オフの練習相手いないなら、俺の家でしない?」
この前の騒動もあったばかりだし、まずいんじゃないかと思ったんだけど、ヤマトが「大丈夫だから」と何度も言うのでお言葉に甘える形になった。
インターフォンを鳴らす前に……。
バッグから制汗剤を取り出し、体に吹きつける。
汗くさいなんて言われたら泣いてしまう。落ち着いて、落ち着いて……。
「ハル?」
そのとき、大きな扉からヤマトがひょこっと顔を出した。
「え、あ、ちょ。こ、こんにちは⁉ あれ、なんで私が着いたのわかったんですか⁉」
「ごめん。うち、玄関にカメラ付いてるから……」
――油断してたー!
玄関で制汗剤まき散らしてる女とかちょっとやばすぎる。
「す、すいません……」
「な、なんで謝るんだよ!? こっちこそ来てもらってごめんな。本当は迎えに行きたかったんだけど……。とりあえず、入って」
「は、はいっ」
ヤマトの後ろをついて庭を歩く。
ヤマトの今日の服装は白いTシャツに、デニムのパンツ。たったそれだけのシンプルなものなのに、体格の良さ、顔の良さがあってオシャレにしか見えない。
ヤマトの家の庭は石畳がバランス良く敷いてあった。どこから見ても美しい樹木は、とても丁寧に世話をされているのが伝わってくる。
――コンッという気持ちいい音が鳴る。
音がした方に目を向けると、ししおどしがあった。その先には、綺麗な水が流れる池。
「ほえー……私、ししおどしがある家なんて初めて見たよ」
「驚いた?」
ヤマトはそう言うと、にこっと微笑んだ。
美しい庭とイケメン。その破壊力はすさまじく、私のHPを容赦なく削る。
「お、驚きました……」
「あ、また敬語になってる。俺も敬語やめたんだから、ハルもタメ口にしてくれよ」
ヤマトは、前に会ったときよりもずいぶんと落ち着いているような気がする。
「努力しま……する」
「しまするってなんだよ!」
ヤマトはそう言うと大きな声で笑った。つられて私も笑う。
「練習の前に、少し庭歩いてみる?」
「うん」
少し気持ちを落ち着かせないと、勝負どころじゃないかもしれないし。
そう、なんたって今日の宅オフは、ヤマトとふたりきりでのトレーニングなのだ。
ヤマトの家は郊外で、自然豊かな地域にあった。
「それにしても、大きすぎない……?」
目の前には大きな平屋の豪邸。和を感じるその家は、荘厳な雰囲気さえある。
ヤマトってイケメンなうえに御曹司なの?
庭からは水が流れるような音が聴こえる。
ぜったい、ぜったいお金持ちだ。
私みたいな一般人が来て良かったのだろうか。
――あの日、配信で「大会にエントリーする」宣言をした反響はすごかった。
応援する声も、私をバカにする声もたくさんあった。
「謎のプレイヤーの正体がついに⁉」なんて、読者を煽るようなメディアまであったくらいだし……。
私は、私が思う以上に、アタックウォリアーズ界隈を賑わしていたらしい。
それは怖いことだけど、戦うことを決めたからもう逃げない。
大会まで1ヶ月しか猶予はなく、毎日トレーニングに励まなければいけなかった。
そんなとき、ヤマトから連絡がきたのだ。
「オフの練習相手いないなら、俺の家でしない?」
この前の騒動もあったばかりだし、まずいんじゃないかと思ったんだけど、ヤマトが「大丈夫だから」と何度も言うのでお言葉に甘える形になった。
インターフォンを鳴らす前に……。
バッグから制汗剤を取り出し、体に吹きつける。
汗くさいなんて言われたら泣いてしまう。落ち着いて、落ち着いて……。
「ハル?」
そのとき、大きな扉からヤマトがひょこっと顔を出した。
「え、あ、ちょ。こ、こんにちは⁉ あれ、なんで私が着いたのわかったんですか⁉」
「ごめん。うち、玄関にカメラ付いてるから……」
――油断してたー!
玄関で制汗剤まき散らしてる女とかちょっとやばすぎる。
「す、すいません……」
「な、なんで謝るんだよ!? こっちこそ来てもらってごめんな。本当は迎えに行きたかったんだけど……。とりあえず、入って」
「は、はいっ」
ヤマトの後ろをついて庭を歩く。
ヤマトの今日の服装は白いTシャツに、デニムのパンツ。たったそれだけのシンプルなものなのに、体格の良さ、顔の良さがあってオシャレにしか見えない。
ヤマトの家の庭は石畳がバランス良く敷いてあった。どこから見ても美しい樹木は、とても丁寧に世話をされているのが伝わってくる。
――コンッという気持ちいい音が鳴る。
音がした方に目を向けると、ししおどしがあった。その先には、綺麗な水が流れる池。
「ほえー……私、ししおどしがある家なんて初めて見たよ」
「驚いた?」
ヤマトはそう言うと、にこっと微笑んだ。
美しい庭とイケメン。その破壊力はすさまじく、私のHPを容赦なく削る。
「お、驚きました……」
「あ、また敬語になってる。俺も敬語やめたんだから、ハルもタメ口にしてくれよ」
ヤマトは、前に会ったときよりもずいぶんと落ち着いているような気がする。
「努力しま……する」
「しまするってなんだよ!」
ヤマトはそう言うと大きな声で笑った。つられて私も笑う。
「練習の前に、少し庭歩いてみる?」
「うん」
少し気持ちを落ち着かせないと、勝負どころじゃないかもしれないし。
そう、なんたって今日の宅オフは、ヤマトとふたりきりでのトレーニングなのだ。