eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~

side:マンダム

「ファミレスの制服を着たハル氏も萌えでござるなぁ」

「マンダム、ハルを変な目で見るなよっ」

「冗談でござるよ。……たぶん」


拙者はヤマト氏とハル氏のバイト先に来ていた。


ハル氏が「最近、バイトが妙に忙しいんだよね」とぼやいていたのは知っていたが、なるほど。

忙しいのも当然でござる。

「で、マンダムどう思う?」

「ほとんどがハル氏目当ての客でござるよ。前の席なんて、アタックウォリアーズの服まで着てますしおすし。バレバレでござる」

見渡せばゲーマーばっかり。
人のことは言えないですが、同士のにおいって言うのはわかるんでござるよ。

「やっぱり、どこかから春菜のバイト先がバレたんだな」

ヤマト氏は苦虫を噛み潰したような表情をする。

「まぁ、時間の問題だったでござろう。ハル氏は容姿端麗。すでにネットニュースに何度も載っていますし、人気ゲームのプレイヤーとなったら目立つに決まってるでござる。オタクがほっとくはずがない。ほら、あそこなんてすでに色紙とカメラまで準備している輩が……」

「なんだって⁉」

そう言うと、ヤマト氏は睨みをきかせて別のテーブルを威嚇する。

本当にヤマト氏はハル氏のことが好きなんですなぁ。

ふたりが付き合ったという報告を聞いたときには驚きましたが、そしてそこはかとなくショックでしたが、お似合いのふたりでござる。

今日は、ハル氏のバイト終わりを待ってから三人で宅オフトレーニングをする予定になっていた。

「春菜が忙しいし、最近よくお客さんにも話しかけられるって言うから気になってきてみたら……くそ、どうしたらいいんだ」

あの優しい対応で有名なヤマト氏がこんなにも心かき乱されて、恋愛とは恐ろしいものでござるな……。

「どうすることもできないでござる。そんなに気になるならば、ハル氏にバイトを辞めてもらったらどうでござるか?」

「そんな簡単な話じゃないんだって。しかもこの店、春菜が青龍杯で優勝してから全力で乗っかってきてるらしくてさ。辞めないでくれ辞めないでくれってシフトに入るたびお願いしてくるらしい」

ヤマト氏が小声でそう言うので、メニュー表を開いてみる。


【青龍杯優勝者ハルのおすすめ!】

【ゲーミングドリンク!】

【ゲーミングパスタ!】

【青龍杯パフェ】


「さすがにこれはやばいでござるな」

「春菜が事務所に所属したらそっこう訴えられるぞこれ」

ふたりで苦笑いをしていると、ハル氏がテーブルに来てくれた。

「ふたりともごめんねっ! 少しだけ残業になりそうだから、もうちょっとだけ待っててね」

「春菜……俺たちのことは気にしないでいいのに」

ヤマト氏、顔がにやけておる。デレデレという文字が見えそうだ。

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