6月の雪 ―Special Snowflake―

「いや、なんでもない。さ、次のターゲットを探そう」

「蒼生くん……」

 そう言った蒼生くんへ、今まで夢中で話していた翔太とひな子が驚くように振り向いた。

「もう少しのんびりしたらどうだ? 少し間を置かないとオレたちのことだってバレるかもしれないだろ」

「いや、すぐに次のターゲットを見つけよう」

「……」

「……」

 ……蒼生くん……?

 蒼生くんの言葉にみんなが黙る。その焦るような蒼生くんの言葉が、みんなも不思議に感じているということは分かっていた。

「1つの悩みの解決が、何人もの笑顔を作るんだ。俺はそれが見たい」

「……蒼生くん」

『たくさんの人の笑顔』

 そんなこと考えもしなかった。私はいつも自分のことでいっぱいで、他の人のことを考える余裕なんてなかった。

 それは今も同じだけど……。

 でも、蒼生くんはどうしてそんなふうに思えるんだろう?

『たくさんの人の笑顔が見たい』
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