6月の雪 ―Special Snowflake―

「……相談事?」

 その言葉に頭を傾げた。なんのことか意味がわからなかった。

 確かにその頃の私は色んなことにストレスがあって、髪を金髪に染めたばかりだった。それだけで今までの生活が一変して、無闇に声をかけてくる人もいなくなって、1人でいることにホッとしていた。

 母親のこと、友達や学校のこと、悩みというか、みんなの考えていることが理解出来なくて、私の居場所ってここであってる?
 私は、本当は宇宙人で、間違って地球に来ちゃったんじゃないかって本気で思ったりしていた。

 だけど、誰かに相談しようとか、話を聞いてもらいたいとか思ったことはない。だって、そんなこと言ったって誰も私を理解してくれる人なんていやしないって思っていたから。

 だから正直、“相談事”と書かれている文字を見てドキッとしたんだ。

 いろんなことに、あきらめかけていた私の心の中を見られた気がして。

 その手紙には、その言葉と小さく地図が描かれていた。

 地図といっても校内の、ある場所へ続く案内図。それが今ここに居る、屋上だった。

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