クリスマスの夜はどこへ行っても色とりどりの煌めきで満ち溢れている。行き交う人々の表情もキラキラと輝いていて、誰もが楽しそうな笑顔を浮かべている。

 手を繋いで仲が良さそうに歩くカップルたちの間に漂う空気は、気温一桁の寒さにも負けないほど熱々だ。

 結子だけだろう。聖夜の夜にこんなにつまらなさそうな顔をしているのは。

 仕事中はいつも一本に結んでいる髪を可愛いハーフアップにまとめ、デコルテ部分がレースになった大人っぽいワンピースに身を包み、三センチのパンプスから七センチのヒールへ履き替え、ボーナスで買ったばかりの新しいコートを羽織っているのに、こんなにも浮かない空気を纏うのは。既に閉店した店のショーウィンドウに暗い顔が映り込んでしまうのは。

「はぁ……」

 胸の中に溜まった重い気持ちを吐き出すように息を吐く。これからデートのはずなのに、奏一と一緒にディナーをする楽しい時間のはずなのに、どうしても気乗りしない。目的の場所に向かう足が重い。

 あれから奏一とは、ずっとぎくしゃくしたままだ。

 奏一は謝ろうとする気配を見せてくれるし、実際にポツリと謝罪の言葉を口にすることもある。

 けれど彼が『ごめんね』と言ってくれても、結子は素直に頷けない。すぐには許してあげられない。何に対する『ごめんね』なのか、中身のない謝罪をされたくはない、と反発心を持ってしまう。そっけない態度を取って、不機嫌な返事をしてしまう。