恋のチャンスは3日間
あ・・・れ・・・?
目が覚めると、横になっていて、体を起こさずに横をみると郡司さんが映画を観ていた。

あれ?私、寝ちゃった?
嘘。
最悪。
覚えてない・・・郡司さんが抱き締めてくれたことは・・・覚えてる。・・・きゃー。
恥ずかしいー。

で、そのまま寝ちゃったの?

・・・何やってんのー。

「目、覚めた?」

ゆっくりと体を起こす。

「はい。・・・ごめんなさい。私寝ちゃって・・・」

「いや、それは構わない」

「・・・昨日と反対ですね」

思わずクスリと笑った。

「だな。もうちょっと飲む?」

「あ、はい。飲みます」

「酒豪」

「ち、違いますー」

その後は、もう1本映画を2人で観て、眠りにつく予定だったけど、そのときに私の中で事件が起きた。

歯を磨いて寝室に入ろうとしたとき

「森下、どこ行くの?」

先に歯磨きを終えた郡司さんが、ソファーの上から話しかける。

「え、部屋に行って寝ますけど・・・」

「いや、森下は今日はこっちで」

「え?」

ちょ、なに言ってんのこの人。
ソファーをポンポンと叩いて、自分の隣に来いと言っているのがわかる。

「え?・・・ええ?いや、あの・・・それはちょっと」

躊躇していると悪戯っぽい顔で笑う。

「今日、俺がなんで森下のところに泊まることにしたのか、その理由がこれ」

すごく良い笑顔でポンポンしないで。

「泊まる理由?」

「うん。俺ここ最近眠れなかったんだよ。仕事忙しいってのもあるけど、眠ると変な夢見て目が覚めて眠れなくなる日が続いてて」

ああ、そういえば魘されてた。

「で、昨日の夜はなぜかゆっくり眠れたわけ。朝起きてその眠ることができたのは、森下のおかげだったって気がついた」

「はあ」

「で、今日もう一回試したい」

「あ、はい?」

「だから、森下、こっちきて」

だから、その笑顔やめて。

「・・・だめ?」

悲しそうに言わないで。
その顔はずるい。

「えっと・・・」

「なにもしない。約束する」

「・・・・わかりました」

「じゃあ、こっち」

笑顔で言う郡司さんと、顔がかなりひきつっている私。

やばい。ドキドキが止まらない。

ゆっくりと郡司さんのところに近づく。

「寝る場所どっちがいい?」

「ど、どちらでも」

考えるなんてできない。

「じゃあ、昨日と同じでいい?」

「はい」

「そんな、緊張しないでよ」

「しますよ!」

思わず少し声が大きくなった。

「ああ、そうだよな。ごめん。でも俺も緊張はしてる」

「え、そうなんですか?」

「そりゃそうだろ。・・・お前俺をなんだと思ってんだ?」

「いえ、な、なれてるのかなーって・・・おも・・・て」

「はー。傷つくわ」
首をがくりと落とす。

「え・・・あ・・・」

「言っとくけど、こんなこと頼んだの森下がはじめてだからな。・・・なんだよ、俺が誰とでも寝るとか思われてたなんて。がっかりだよ」

プイッ。と反対方向を向いて寝てしまった。

あ、あ、やだ。
怒らせた。
傷つけた。
ここまで、楽しくやってきたのに。
どうしよう。
どうしよう。

「ぐ、郡司さん。・・・・ごめ・・・なさい」

ぐすっ。
泣きたくなんてなかったのに。

私の異変に気がついたのか、こっちをみてビックリした起き上がった。

「ごめん」

優しく抱き締められた。

「ちょっとからかうつもりだっただけなのに。・・・今日は泣かせてばっかだな。ごめんな」

「ううっ」

頭を優しく撫でられていたかと思ったら、

「きゃっ」

横にごろんと寝転んだ。

「今日はこのまま寝ようぜ」

抱き締められたままの体制で、毛布をかけられる。

こ、このまま・・・?

少し体を離すと、テーブルにある電気のリモコンをとって、小さな明かりに切り替えた。

「あ、泣き止んだ」

にこっと笑う郡司さんが薄明かりの中みえた。

なにも言わずに、私は郡司さんの胸に顔を押し当てた。
そんな私を優しく包み込むように抱き締めて、2人ともなにも言わずに眠りについた。
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