雪が嫌いだ。

家に帰っても誰もいない。振り込まれない家賃に、大家の爺さんが迷惑そうな顔をして見てくる。スロット漬けの父親はここ一週間帰っていない。借金し過ぎて、どこかで沈められたか、マグロ漁船にでも乗ったか。

最初は先輩に売られた喧嘩を買い、追い払った。そこからどんどん噂は広がり、歩けば喧嘩を売られるようになった。

喧嘩は楽しかったけれど、毎日売られるとやはり疲弊した。
もういいだろ、もう充分だろ。

死んでも。

そう思いながら立ち上がり、振りかぶって投げられた石を避けた。

後ろで、ばき、ぐしゃ、と何かに当たり、倒れる音がする。