離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです
策士な旦那様の本当の姿

 涙ながらに別れたくないと訴えた後、真紘さんは自分の生い立ちとそれに付随する複雑な感情を告白してくれた。

 寝室で木箱にしまわれた宝物も見せてもらい、彼が離婚届をその中に保管しようとした理由も知った。

 どうしようもなく彼を抱きしめたくなってそうしたら、真紘さんは案外ケロッとしていた。

『話したらスッキリしたし、佳乃に惚れ直した』

 そう言って、いつもの悪戯な笑みを浮かべ、私をベッドに組み敷いた。

 今は散々愛された後。けだるい体を横たえて、甘い余韻に浸っている。

「お母様が言っていました。真紘さんはなににも執着しないって。でも、本当はずっと寂しかったんですね」

 私の裸の胸に、真紘さんが顔を埋めている。こんな時、やっぱりもっとふわふわな大きい胸だったらよかったのにと思うけれど、真紘さんの顔は十分満足げだ。

「ああ。たとえ短い間でも、同じ空気をお共有して笑い合った思い出はあるのにさ。別れを惜しまれないと、俺は誰の心にも入り込めていなかったんだって感じて、虚しかった」

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