離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです
ギリシャの空の下、愛を誓って

 二時間ほど空港で待っていたが真紘さんがくる気配はなく、息が詰まりそうになって外に出ることにした。

 アテネ中心部、シンタグマ広場に移動し、木陰のベンチで休んでいると、日本にいる司波さんから電話が入った。

《大使館には柳澤もいたそうだが、人質は今のところ全員無事らしい。公にはまだ伏せられているが、外務省からの情報だから信じていいと思う》
「そうですか、よかった……」

 目に入る場所に噴水があり、その向こうではストリートミュージシャンがギターを抱えて陽気に歌っている。

 あちこちに露店が並び観光客も多く、大使館で事件が起きているのが嘘のような、平和な光景だ。

《気をしっかり持ってください。アイツは佳乃さんをひとりにして勝手に死んだりしない。あなたには心底惚れているみたいですから。……そういえば、テキーラサンライズの意味は聞きましたか?》
「テキーラサンライズ?」

 ぽかんとして聞き返す。テキーラと言うくらいだから、カクテルの名前かな。

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