離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです
「常務って、男?」
「そうですけど」
「だよな……。その常務、佳乃を専属秘書にできるなんて幸運に感謝してほしいね。俺は夫として佳乃を独占することはできるけど、仕事中までは無理だから」
ため息交じりに言った真紘さんが、私の背中を抱き寄せる。それから耳のふちに軽く口づけして、優しい声音で囁いた。
「応援してるから、頑張って。佳乃なら大丈夫。俺が保証する」
真紘さんにそう言われると、本当に大丈夫な気がしてくるから不思議だ。私は彼をギュッと抱きしめ返し、「ありがとう」と言った。
「……で。そろそろ襲ってもいい?」
突如、ガバッと身を起こした彼が、四つん這いになって私を見下ろす。一見冷静そうにも見えるが、瞳の奥には情欲が滾っている。
珍しく酔っぱらった私を心配し、抱える悩みを吐き出すまで我慢していてくれたんだ。
真紘さんは本当に、優しい人だと思う。
「はい。私も、真紘さんに愛されたいです」
「よかった。俺、昨日よりは余裕あるから、ゆっくり愛し合おう」
甘い視線を絡ませたまま、真紘さんが私の唇にキスを落とす。一度離れてはまた唇を合わせて、吐息を重ねる。
真紘さんとのキスは、何度繰り返しても足りない。
その夜はじっくり丁寧に愛され、体も心もますます真紘さんに堕ちていった。