魔法の使い方2 恋のライバル、現る!?
二章
 ヴィオルドは一人、陽歌(ヒラルス・カヌトス)へコーヒーを飲みに来ていた。淹れ立てのブラックコーヒーが香り高く湯気を上げている。客の少ない時刻だったので、カウンターにぽつりと座っていた。そんな彼にユリウスがテーブル越しから声をかける。

「まだミーナは帰ってないよ。ブラウニー焼いたから、食べていく?」
「ありがとうございます、ユリウスさん。俺はミーナがいない方が静かでいいですよ」
「私が見た限り、ミーナと話している君は楽しそうだったよ」

 にこにこと指摘するユリウスに勝てる気がしないと感じたヴィオルドは、黙ってコーヒーカップに口をつけた。

 タイミング良く湯が沸騰した音を聞いたら、ユリウスが火を止めに向かう。その後食器の手入れを始めたので話はそれっきりになり、ヴィオルドはほっとする。




 ソルバ商会の事件以降、王都はこれといった大きな事件はなく、下町で住人同士の小競り合いがたまに起こるくらい。暇を持て余したので店に入ったのに、ミーナがいないせいでどうも張り合いがない。

 店の中にはユリウスが食器を磨く音と、柱時計の時を刻む音だけが響いている。ヴィオルドは特にすることもなく窓から外を眺めていた。
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