もう泣かないで、君はとても素敵だから
秘された彼の深い愛情
…今、なんて言ったの?

恐る恐る、シュウジの顔を見た。

シュウジは、ばつが悪そうにしている。

暗闇でも、その顔が紅くなっているのがわかるようだ。

「今、勢いで言ったけど…ピノコだって、とっくに俺の気持ちには気づいてたろ?」

「どうして?」

「え?」

「わからない…シュウジが優しくしてくれたのも、好きって言ってくれたのも、意味がわからない…」

「意味って…そんなの、俺だってわからないよ。4月に気まぐれで行った相模湖で知り合って、最初は可愛い子だな、ぐらいにしか思ってなかったけど…何故かどうしても放っておけなくて。話してる内に、このまま二度と会えなくなることが寂しいと思ったし、会えば会うほど、ピノコの存在が大きくなっていった。自分でも一体どうしたのかと思ったよ。あんな風に女の子に声かけたり、連絡先渡したのだって初めてだし、俺の携帯のアドレス帳、女の子はピノコだけなんだよ、実は」
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