輝きのままで
19
ひとりの部屋に戻ると、幸せで満たされた1日だったのに、あっという間に時が過ぎた寂しさを感じていた。

シュウジがいつも必ず送ってくれるのは、私がかつて頻繁に痴漢被害で嫌な思いをしてきたことを知っているからかな?

だけど、その話をする前からいつも気遣ってくれていた…やっぱりシュウジは根っからの優しい人なのだろう。

すぐに声を聞きたくなったが、シュウジは今ごろ電車に乗っているはずだから、メールを送る。

「今日はありがとう。気を付けて帰ってね」

たったそれだけ。

これじゃ、友達だった頃と変わらない…私はずっと不器用なまま。

恋人なんて初めてで、そもそも自分には一生無縁の話だと思って生きてきたから、恋愛のマニュアルなども読んだことはない。

もっと大人になれたなら…。

悶々としていると、通知音が鳴る。

「こちらこそありがとな。次の週末は丁度ピノコの誕生日だし、ピノコの行きたい場所に行こう。遠くてもいいから」
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