現実主義者の恋愛事情・王子を一時預かりします  レイと綺麗

「こっ・・
こういうことはするのは・・・
結婚が前提なんだよ!」

綺麗はぎゅっと目を閉じて、
決定打を放った。
それにさ、勝負下着つけてないしさ!
それなりの心の準備とムードが必要なんさ!

「結婚・・?」

王子は少し驚いたように、
手と体を離した。
綺麗も肩からガクッと力が抜けた。
随分と古風な事を言ってしまった・・・

次の瞬間だった。

「じゃあ、する」
「ええ・・と・・・」
ああ・こいつはわかっとんのかな?
結婚ってさ・・
一緒に生活するんだぜ。

んと、んと、んと・・・
次に何を言おうか。
綺麗が考えていると、王子の指が顎にかかった。

唇が深く合わされて、強引に舌が滑り込む。
梅酒の香りがする。

王子は手練(てだ)れだった。
舌先を絡めて、
確実にポイントを狙ってくる。

唇が離れると・・
王子が、かすれた声でささやいた。
そして綺麗の指先に唇を当てる。

「キレイさんは特別な人。
プレッシャスだから」
指先1本づつにキスをされる。

ああ・・・
猫じゃないんだけど・・・

「あなたを愛したい・・
YES?NO?」
うなじにもう一度唇が這う。

もしかして梅酒がまずかったか・・
スイッチが入っちゃったか・・

「NO・・・じゃない・・かも」

濃厚なキス攻撃に、
頭がぼーっとして、そうとしか答えられない。
もう、抵抗する気持ちがない。
片手を握られて
そのまま、ずりずりとソファーに倒されてしまう。
王子のヘイゼルの瞳が潤んでいる。

プレッシャス、プレッシャス・・
愛する人。

ビニール袋に入った氷が溶けていく。
心も体も溶けていく。
< 37 / 45 >

この作品をシェア

pagetop