現実主義者の恋愛事情・王子を一時預かりします  レイと綺麗

高梨がいきなり手を合わせた。
拝まれている。

「んで、お前がそいつの相手を
してくれれば
すべてうまくいく。
その日だけだから」

綺麗は拝まれているのを無視して、
おばちゃんの居直り発言をした。

「私は食べるよ。
日本語できないのなら、
しゃべることないし」

「いや、
日本語は勉強したらしい。
友達が日本人でいるらしい。
だから言葉は問題ない。
しゃべれる」

高梨は綺麗のそそる情報を
連発した。

「父親はお貴族様だぞ。
血統書付きの奴だぞ。
執事がいる城に住んでいるらしい。」

「だからさぁ、
彼氏がフランス人なんでしょ。」

綺麗は合コン目的を外さない。

「お前の人生で、お貴族様と話す
機会なんてないだろ?
貴重な体験だぞ?
それに芸術家だ。」

高梨は押してくる。

ビジネスバックから
一枚のパンフレットを取り出した。

ピアノコンサートのチラシだ。

リチャード・レイ・ロンデール

その写真・・
ピアノを弾いている姿は・・
美形で華麗だ。

プロフィールも華々しい。

「うまく話しをつければ、
コンサートに招待されるかも・・
それもA 席だぞ。」

綺麗は脳内検索をかけた。

チケットセンターで、いくらくらいで売れるだろうか?
米代に充てられるかが問題だ。

「女の子たちには先に言っておくよ。
だって、こんな超ハイスぺだもん。
最初から無理って言っておかないと、誤解されると大変」

「まぁ、そうだな。
お近づきになれるだけでも・・
光栄のいたりってやつかな??」

高梨が苦笑した。

「手数料として、ケーキ追加ね」
綺麗が高梨に、取引を持ちかけた。

「居酒屋費用はそっち持ちで」
高梨が肩をすくめた。

「綺麗ちゃん、しっかりしている
よな。
わかった。契約成立だ」

綺麗は頬を膨らませた。

「桐谷さんと呼びなさい!」

綺麗は名前で呼ばれることを
好まない。
周囲に誤解をされるのは嫌だ。
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