極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
『そうだね、いつがいい?』

 慌てて返したものの、私の心の奥にはずっしりとした重いものが陣取っていく。

『茉奈のことは……ご両親はなんて?』

 おそるおそる問いかける。衛士の両親にしたら私は息子の子どもを妊娠したのに、それを一切知らせず出産してひとりで育てていたんだ。勝手な行動を取ったと責められてもしょうがない。

 衛士は私が淹れた紅茶のカップを一度ソーサーに戻した。

『驚いてはいたが、会いたがっている。茉奈にはもちろん、未亜にも』

 それをどこまで素直に受け取っていいのか。衛士はラグエルジャパンの後継者で、私みたいにそれなりの結婚話だってあったはずだ。

 帰国して正式な後継者としてこれからというときに現れた私たちを、結婚相手と彼の娘として受け入れてもらえるのだろうか。

『……茉奈のDNA鑑定とか必要かな?』

『必要ない。茉奈は俺の娘だよ』

 衛士はわずかに怒った顔になる。失礼だったかと悔やむと衛士は軽く息を吐いた。

『未亜が不安がるのも無理はない。でも両親共に未亜と茉奈を快く迎え入れるつもりだよ』

『うん』

 衛士を信じる。なにより茉奈にとっては祖父母にあたる人たちだ。私の母は亡くなっているから、茉奈にとって衛士のお母さんは唯一の祖母になる。

 たくさんの人に愛されてほしい気持ちは変わらない。こうしてあっという間に段取りが整って、私と茉奈は衛士の実家を訪れることになった。
< 101 / 186 >

この作品をシェア

pagetop