極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
白雨に見つけた真実
 八月のお盆明けの週末、私は朝から美容院に行ったり、茉奈を陽子さんに預けたりとバタバタしていた。

 今日の夕方、ラグエルジャパンの新規事業のお披露目を目的とするレセプションパーティーに衛士と出席するためだ。

 なんでもアメリカ本社との同時展開が正式に決定している今回の事業は、業界からの注目度もひと際高く、リリース前から話題を呼んでいる。

 本社と対等な扱いで進められるわけは、本社に留学していた衛士が中心メンバーのひとりとして関わっていたらしく、このたび責任者としてラグエルジャパンでの事業の指揮を執っていく運びとなったからだそうだ。

 いわばこのパーティーは、ラグエルの新規事業の内容うんぬんというより業界関係者に、日本法人の次期後継者として衛士の存在や実力を広く知らしめるために行われる。

 ついでという形でもこの機会に彼の結婚を報告するのは、自然な流れだ。

 つまり私は衛士の結婚相手として正式に紹介され、注目されることになる。憂鬱とまではいかなくても多少のプレッシャーを感じるのはしょうがない。

 まだ空は明るく気温は高いが夕方に差し掛かる頃、私は姿見の前で最終チェックを行う。メイクは服装に合わせていつもより濃いめに施した、つもりだ。

 ヘアメイクは美容院でセットしたので問題はない。

 用意したドレスは、レースが贅沢に使われ、シースルーで肌の露出をほどよく抑えつつ上品さが溢れるデザインを選んだ。
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