あやかし戦記 怪物の城
(一体、どこに悪魔たちは隠れているの?それに、あの呪術師やツヤさんのお父さんの姿も見えない……)

イヅナはキョロキョロと辺りを見回すも、悪魔たちの気配は一切感じない。見られている、とイヅナが思うこともなかった。

(私たちじゃなくて、ギルベルトさんたちと戦っているのかしら……)

悪魔たちやイヴァンはツヤが人だった頃に面識があり、ミツヒデに至っては彼女の実の父親だ。戦うのに躊躇いがあるのではないか、とイヅナは考える。

「あそこ、すごい大きなドアがあるぜ!」

レオナードが指差した先には、壊れかけた大きなドアがある。ツヤが安全を確かめてから一番に中に入り、イヅナたちも後に続く。

「すごい……!」

ヴィンセントが目を輝かせる。そこにあったのは、天井に届きそうなほど大きな本棚と、棚に入っている数え切れないほどの本たちだった。一生かけても読み切れないような本が並んでおり、ヴィンセントはあちこちの棚を見ていた。
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