義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
恋人関係への昇格を要求します

 彼との秘密の時間は、土曜日の午後から始まる。

 白を基調としてアクセントにパステルカラーを取り入れた、精一杯可愛らしさを演出した私の部屋に大好きな人を招く。ふたりきりで過ごすこの時間は、私にとって背徳感たっぷりなひとときである。

 愛する彼──水篠(みずしの)(ひじり)は私の家庭教師だ。中学の頃から短大二年生の今まで、主に週末にここへ来ていろいろなことを教えてくれる。

 彼は凛とした雰囲気を纏いつつ物腰も柔らかな、素敵な大人の男性。厳しい一面もあるけれど九割は甘くて、難しい問題が解けたりなにかひとつ成功したりすれば、魅力的すぎる笑顔を向けてたくさん褒めてくれる。

 そして、女子たちに人気のアイドルや俳優への興味を失うほど顔がいい。中性的な印象のアーモンド型の瞳、すっと通った鼻筋、色気のある唇にシャープな顎……どの角度から見ても完璧。

 こんな人がそばにいて甘やかされたら、惹かれないほうが難しいだろう。私はいつの間にか、本気で彼のことが好きになっていた。

 今日も課題でわからないことがあって家庭教師をお願いしているが、下心があるのは否めない。
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