義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
一途な想いは却下できません

 もうすぐバレンタインだ。スーパーやショッピングモールには、オシャレで可愛いパッケージのチョコレートが所狭しと並んでいて目移りする。

 毎年聖さんには手作りのチョコレート菓子をあげているけれど、今年はどうしよう。家族なんだし、義理として普通に渡してもいいか。

 そんなふうに、たわいもないことを考えていないと鬱々悶々としてしまう。二月初旬の今日は、聖さんと碓氷さんたちが例の食事会をしているから。

 成人式以来、聖さんとは相変わらず義兄妹として過ごしている。

 彼は本当に忙しく、帰宅はだいたい八時頃だし、仕事を持って帰ってくるときも多い。私もバイトが入っているから、まったく顔を合わせない日もある。


『俺は六花を子供だとも、義妹だとも思っていない』


 ──じゃあ、なんだと思っているの?と、それすらも聞けていない。まあ、ふたりきりになる時間があったって聞く勇気が出るとは限らないのだけど。

 久々に母とふたりで夕飯を食べながらぼんやり思いを巡らせていると、彼女がワクワクした調子で話し出す。


「今頃話はまとまってるのかしら。結婚式をするとしたら、水篠リゾートが経営するホテルになりそうね~」
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