義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
その縁談は差し支えます

 今年も終わり間近の大晦日の午後、私は小夏の家族が経営している小料理屋〝四季咲(しきざき)〟にお邪魔していた。

 一階の格子状の引き戸を開けると、昔ながらのレトロな雰囲気が漂う店になっていて、二階が小夏たち家族の住居だ。

 営業中は、店内のカウンターには大皿に盛られた数種類のおかずが用意されている。奥の棚には日本酒や焼酎の瓶がずらりと並び、簡単なものならカウンター内で小夏のお父さんが作っているので、様子を見ることができる。

 中学の頃からよくここに入り浸っている私は、なかなかの常連客だろう。雰囲気が落ち着くし、小夏のご両親も気さくでいい人だからとても居心地がいいのだ。そしてなにより料理が美味しい。

 毎年、大晦日は四季咲のオードブルをお供に年を越している。今年は聖さんたちにも食べてもらいたくて、いつもより豪華なものを作ってもらった。

 それを受け取りに来たついでに、誕生日前から急展開した私たちの事情について小夏に詳しく話していたところだ。ランチタイムを過ぎて一旦お店を閉めた今、店内には私たちしかいない。

 小夏は割烹着をつけたまま私の隣のカウンター席に座り、まかないを食べながら興味津々で聞いていた。
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