義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

 そんな彼女と、聖さんは気を許したような調子で話し始める。その途端、碓氷さんが別人のように可愛らしい笑顔を見せるので驚いた。

 雰囲気が柔らかくなるのは聖さんに対してだけで、基本クールらしい。彼に憧れているのはほぼ間違いなく、そしてやはり、その中には恋愛感情も含まれているんじゃないだろうか。

 親しげな空気を醸し出すふたりをじっと見つめて推理していると、私の背後から砂利を踏みしめる音と雅臣さんの声が聞こえてくる。


「おや、霧子さんじゃないか。あけましておめでとう」


 意外なひと言に、私は目を丸くして振り返った。

 え、雅臣さんも碓氷さんを知っているの? しかも名前で呼んでいるって、どういう関係?

 またしてもハテナマークをばらまく私をよそに、碓氷さんが綺麗なお辞儀をする。


「水篠社長、あけましておめでとうございます。あと、ご結婚も」
「おお、ありがとう」


 母とそろって挨拶をしたあと、雅臣さんは意味深な笑みを浮かべて聖さんと碓氷さんを交互に見やる。


「君たちも考えてくれたかい? 例の件は」
< 63 / 265 >

この作品をシェア

pagetop