義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

「私の頭、銃で撃って吹っ飛ばしてくれてもいいよ……」
「ごめん。ゾンビは冗談」


 ずーんと沈んだ空気を纏って呟くと、小夏は私の両肩に手を置いて真顔で謝った。

 黒の振袖に赤い帯を合わせた彼女を改めて真正面から見つめ、私は「小夏、めちゃくちゃカッコいいね」と褒めた。しかし、「褒められてる気がしないから、早く六花が抱えてる問題を教えて」と急かされるので、重い口を開く。


「義兄妹以前の問題だったんだよ……聖さん、結婚するかもって……」
「はあ!?」


 魂が抜けたような状態で打ち明けると、小夏は目を丸くしてすっとんきょうな声をあげた。

 ひとまず会場に向かって歩きながら、初詣で碓氷さんに会ったことから話す。

 母から聞いたのだが、碓氷さんのお父様は銀行の頭取で、雅臣さんとは仕事で取引をしているうちに親しくなったのだそう。

 ふたりが結婚すれば公私共にさらに良好な関係が築けそうだし、私なんて割り込む隙がないのは明白だ。

 それらを聞いた小夏は、難しい顔をして唸る。


「ある意味、政略結婚みたいなものか。本人たちの気持ちは?」
「同意してるんじゃないかな。食事会するって言ってたし」
< 66 / 265 >

この作品をシェア

pagetop