別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
陸人さんは私の手を握り、玄関に入った。

すでに結婚相手を紹介すると伝えてあるようだけど、どんな反応をされるのか気が気でない。


「ただいま」
「おかえり。初めまして。陸人の母です」


肩のあたりで切りそろえた髪を揺らしながら笑顔で出迎えてくれたお母さまは、手の指先まで神経が行き届いていて、上品という言葉がぴったりだ。


「初めまして。本宮心春と申します」


私も挨拶をすると、にこやかだったお母さまの顔が引きつったように見えて、たちまち心臓が暴れだす。

挨拶の仕方、間違ってた?


「本宮、さん……?」
「話は中でするよ」
「……そうね。上がって。お父さん、呼んでくるわ」


この妙な雰囲気はなんなのだろう。

首を傾げながらも、陸人さんと一緒に広いリビングに足を踏み入れた。

ダークブラウンのふかふかのソファに腰掛け、隣に座った陸人さんに話しかける。


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