離婚しましたが、新しい恋が始まりました
始まりは……

紬希が離婚してから、三年の月日が流れた。


看護師の資格を持つ紬希は、旧姓の有沢(ありさわ)に戻って慌しい毎日を送っている。
結婚していた時は夫の実家である『秦野(はたの)内科』で働いていたが、今の職場は総合病院のERだ。

紬希の結婚は、彼女の父親と元夫の父親、秦野佑介(はたのゆうすけ)が医大の同期だった縁で、親同士が何となく決めていた話だった。

紬希は大学病院の看護師として働いていた24歳の時に、5歳年上の貴洋と結婚した。
母親は幼い頃に亡くなっていたし、父親は二十歳の時に急死したので紬希には頼れる人がいなかった。しかも父の再婚相手が『有沢家』を乗っ取った状態だったから、紬希は実家から逃げたくて結婚したようなものだ。


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