きみの瞳に映る空が、永遠に輝きますように
キャンプからの帰宅後は、また怒涛の日々が始まった。
あと少しの命ならゆっくりと休みたい、と思っていたのだが、どうやら思っていた通りにはならないらしい。
それが生きるもの全てに平等に与えられた人生だった。
それにしても不公平だとは思う。
これから何十年と生きる人間と数か月後に死ぬ人間には平等な時間と課題が課せられる。
それなら後者にはひとつくらい幸せが追加されればいいのに、と思わずにはいられない。
課題に関してはするもしないも自己判断だが、人生最後に盛大に暴れて話題として残るのは本望ではなかったために自然と選択肢は一つに絞られた。
プライドからなのか、どうしても病気を理由に課題に手を付けない人間にはなりたくなかった。
毎日学校に通い、病院に通院する。
キャンプ以来、体調を崩しやすくなり、寝込むことも増えた。
でも、父に気付かれては余計な気を遣わせてしまうと思い、部屋に籠って何度も隠した。
せっかくの思い出を私が原因で汚したくなかった。
《勝手に追加してごめん、透真です》
平日の夕方、学校から帰宅してベッドで身体を休めていると、tomaと書かれた人から連絡があった。
そして、それが透真くんだと瞬時に分かった。
おそらくクラスのグループから私の連絡先を追加したのだろうと思う。
《追加ありがとう》
私はそう返して返信を待った。
透真くんはここ数日、学校には来ず、噂によるとたまに保健室登校をしていたらしい。
相当体調が悪いのだろう。
心配で仕方がなかったが、連絡先を持っていなかった私には連絡手段がなかった。
家に行くという手段もあったが、それはどうしても気が引けた。
これはただ私が臆病者ゆえに行動に移せなかっただけだが。
恥ずかしながら、クラスのグループから追加するという方法は思いつかなかった。
そんなことを考えているとまた受信音がした。
甲高いその音に思わず心が弾む。
《今日の夜、蒼来の家に迎えに行ってもいい?》
《うん、待っているね》
私はそう返して考え込む。
約束のことよりも透真くんの体調が心配でならなかった。
この約束に無理をして透真くんの寿命が縮まったらどうしよう。
そう考えるととても冷静ではいられなかった。