きみの瞳に映る空が、永遠に輝きますように

 
 どこで噂を聞きつけたのか、目を覚ますと丸椅子に腰をかけている星絆と壁に身体を預けている透真くんの姿があった。

 「心配かけてごめんね、また貧血になったみたい」

 私は慌ててそう言ったが、星絆は安堵した表情を見せることはなった。

 それだけではなく、星絆が私を疑った目で見ているような気がした。

 「ねぇ、蒼来は私に隠し事をしているよね?」

 やはりそうだった。
 
 弁解したところで時すでに遅し。

 星絆は既に違和感を超える何かに気が付いていたらしい。

 それには、親友には隠し事が出来ないな、と思う。

 流石に隠し続ける自分にも耐えきれなくなって、星絆に打ち明ける覚悟を決めた。



 「私、夢見病なんだ」

 そう言うと、透真くんは私の目を見て無言のエールを送ってくれた。

 それから、病気が発覚してからのこと、現在の病状、もう長くはないということ、包み隠すことなく星絆に伝えた。
 
 自分でもこの事実から逃げたくはなったけど、ここで隠し事をするのは誰の本意でもない気がして、星絆を傷つける覚悟で全てを話した。


 案の定、星絆は突然の事実に唇を噛んで涙を堪えていた。

 「透真は知っていたの?」

 透真くんは空気を読んだのか、応えづらくなったのか、応答をしなかった。

 「知らなかったのは私だけだったんだ」

 星絆はそう言うと、言葉を発さなくなった。

 どうやら、この状況を理解しようと必死のようだった。

 私は、そんな星絆をただ見つめて謝ることしか出来なかった。



 「どうしてもっと早く言ってくれなかったの」

 星絆はしばらく続いた沈黙を破ると、私の手を両手で包み込み、身体全体で涙を流した。

 星絆の温かい涙につられて、私の目からも大粒の汗が流れた。

 そして、それと同時に大きすぎた肩の荷が下りたような気がした。

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