きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
背後で響くホイッスル
「まりちゃん!!」

土曜日、悠斗の試合が始まる予定時刻の三十分ほど前に試合会場へ行くと、先に応援席に座っていた悠斗のお母さんが大きく手を振ってくれているのが見えた。

全国大会で優秀な成績をおさめているバスケットボール部ほどではないけれど、サッカー部だって県内では強豪だ。応援にも力をいれているようで、悠斗のお母さんのように部員の家族は私よりも一時間ほど前に現地へ着き、横断幕の準備や、応援歌を流してくれるブラスバンド部との打ち合わせなどしていたそうだ。


「今日ね、悠斗、先発出場するみたいよ」

「そうなの?! よかった、嬉しいね」

「うーん、足を引っ張らないか不安な気持ちの方が大きいかも」

不安そうに言いつつも、おばさんの横顔には嬉しさと誇らしさが滲み出ていた。

「えっと……今日勝てば、次は決勝だよね?」

「うん、そう。こんなに大切な試合に先発なんて……緊張で胃が痛くなりそう」

「ちょっと、そこは悠斗を信じてあげてよ」

苦笑しながら、試合前のコートを見つめる。

澄み切った青空の下に広がるコートは緑色の芝生が映えていて、とても綺麗だった。


間もなく試合が開始するので、カバンからスマートフォンを取り出してマナーモードに設定する。

【待っているから】

宮本くんが今朝送ってきてくれたメッセージを、私は結局返せなかった。

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