きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
席替え
六月に入って一週間経った頃、朝ごはんを食べながら朝のニュース番組を見ていると、番組の一角で設けられた天気予報のコーナーで「梅雨入り」が宣言された。昨年より二日早くやってきた今年の梅雨は、出演している気象予報士曰く、去年よりも長くなる見込みらしい。

「梅雨の季節かあ……」
確かに、ここ数日、真っ青な空より灰色の空を見ることが多かった。

嫌だなあ、せっかく朝に髪の毛をセットしても、湿気で巻きが取れちゃいそう。
今度のお休みの日に、巻きを取れにくくするヘアスプレーでも買いに行こうかな。

どのスタイリング剤にしようか、と悩んでいる間に、いつも食べ終えている時間はすっかり過ぎていて、

「真凛!? そろそろ出ないと遅刻するんじゃない!?」

「うわ、ほんとだ!! お母さんありがとう!!」

慌てて用意をして家を出る。


「梅雨に入った」からか、昨日に引き続き雨こそ降っていないけれど、厚い雲が垂れ込んでいる。

そんな不安定な天気の下で過ごしているからか、教室にはなんとなくどんよりとした雰囲気が漂っていた。

「気分転換に席替えでもするか」

先生もそれを察したのだろう。

特に反対意見もあがらなかったことから、一週間に一度あるクラス時間で、高校になって初めての席替えが行われることになった。

ただ、”高校生になって初めて”であっても、中学時代と何か大きく変わるわけではない。

強いて言えば、くじが割り箸から紙に変わったことぐらいだ。

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