きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
秘密
キーンコーンカーンコーン……。

次の日の朝、朝礼の時間が近づいたことを知らせる予鈴が鳴ると、鈴ちゃんと、そして朝練を終えて教室へやってきた悠斗と三人でお喋りをしていた私は、いそいそと自分の席へ戻る。

今日は火曜日。

午後の授業は全て苦手科目という、一週間の中で最も憂鬱な日。

はあ、せめて鈴ちゃんと悠斗の近くの席なら頑張れたのにな。

席に座った時、隣から不機嫌そうな声が聞こえた。

「人の顔を見てため息をつくとか、失礼やな」

誰に向かって言っているんだろう、と思っていると、

「おい、無視すんなや」

「え、私……?」

おずおずと隣を見る。

だって、”極力関わらないようにしよう”と約束をしたのに、わざわざ話しかけてくるとは思わなかったから。

宮本くんは鼻を鳴らすと、「俺にそんな失礼な態度取るの、お前しかおらんやろ」と言い放った。

「……私、今ため息ついていた?」

「うん。めちゃくちゃ大きいため息ついてた」

ついていたかな……? 
ついていたとしたら、完全に無意識だった。

「俺のこと嫌いやったとしても、いくらなんでも本人の前でため息つくのは酷くない?」

「あー…別に宮本くんのことが不快でため息をついたんじゃないよ」

素直に答える。

「ふうん。明らか、俺に向かってついたような感じやったけど」

「違うよ」

本当に違うから、と念押しをしてから、机の上に置いているスマートフォンの電源を切る。

机の横にかけている通学用のカバンの横ポケットにスマートフォンをなおしていると、

「……なら、なんで?」

少しの沈黙の後、彼はまた問いを放った。
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