きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
真夏の夜に食べるアイスクリーム
「送っていく」

この言葉は本当だったようで、結局私は自分の家の最寄り駅に併設されているコンビニでアイスクリームを買ってもらった。

もちろん約束通り、高いものを。

「夜なのに暑いねえ」

「そうやなあ、夏やからなあ」

コンビニから少し歩いたところにある公園のベンチに座る。

沢山の遊具と、サッカーやバスケのミニゲームが出来る程のグラウンドがあるこの公園は、昼間は子供でにぎわうけれど、さすがにこの時間は私たちしかいなかった。

「はい、これ」

「ありがとう」

宮本くんから、アイスクリームとアイスクリームスプーンを受け取る。

お、まだ冷たい。

蓋を開けると、ほとんど溶けることなく、丸い形をしたアイスクリームが現れた。

アイスクリームスプーンでアイスクリームをつつくと、少し力をいれるだけで簡単に一口分がスプーンにのった。

「美味しい」

本当はさっぱりした味にしようと思っていたのに、結局は大好きなキャラメル味の誘惑に負けてしまった。

けれど、美味しい。甘さが、疲れた心に少しだけ安らぎを与えてくれる。

「今日……ありがとうね。部活で、疲れてるでしょ」

すっかり暗くなった空に、一番星が輝いている。

頬にあたるそよ風が気持ちよくて、もう少しここにいたくて、私はゆっくりとアイスを口に運ぶ。

「別にええよ。今日はそんなに動いてないし」

そうは言いつつも、宮本くんはお腹が減っているようで、アイスに加えて買ったおにぎりとからあげをパクパクと口に運んだ。

「……1つ、聞いてもいい?」

アイスの底がほとんど見えた時、今までずっと黙っていた宮本くんが口を開いた。
< 61 / 146 >

この作品をシェア

pagetop