きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
ハートのネックレス
しっかりお昼ご飯を食べたはずなのに、もう「お腹すいた~」と嘆く彼に付き合って海を眺めながら一緒にパンケーキを食べたり、「失恋を忘れられるようにしっかり祈っておきや」という彼の気遣い(というよりどちらかというとお節介)によって高台にある神社を訪れたり、念願の展望台に行ってたくさん写真を撮ったりと、楽しい時間はあっという間に過ぎて、夕日が輝く時間になった。

「灯台から、海に沈む夕日がきれいに見えるらしいで」という彼の言葉を信じ、私たちは帰る前に、灯台へ立ち寄った。

灯台自体にそれほど高さはないものの、確かに周囲にさえぎるものはなく、夕日がゆっくりと沈むところが見える。

「綺麗だねえ……」

感嘆の声を漏らす私に、宮本くんは「だから言ったやろ」と笑う。

「うん、本当にありがとうね、何からなにまで」

本当は気づいていた。

この前は海に入りに来ただけと言っていたくせに、
フラッと入ったようにみせかけてカフェの人気メニューを知っていたり、
私がヒールを履いてくることを想定していたのかーそれとも“一応”女子だからなのかー灯台へは多くの人が使う階段を使わず、わかりづらい場所にあるエスカレーターを案内してくれたり、
本当は、事前に色々調べていてくれたのかな、って。

もしかしたら、本当に知っていたのかもしれないけれど。

「……ごめんな」

私のお礼の言葉に、絶対おちゃらけた言葉が返されるかと思ったのに、彼は謝罪の言葉を口にした。

「……なにが?」

何に対しての謝罪なんだろう。

謝られる理由が分からず、私は聞き返す。

目が合うと、宮本くんは笑みを浮かべる。

その笑みは、いつも見せてくれる明るいものではなく、どこかぎこちなさが滲んでいた。

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