きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
好きだった
すっかり日が落ちた道を、楽しさの余韻に浸りながら歩く。

一週間少しぶりの鈴ちゃんとの時間は、心が弾んで、それでいてとても心地がよかった。

それに、「また明日彼氏とデートするんだ」と笑う鈴ちゃんがとても嬉しそうで、幸せな気分をお裾分けしてもらえた気がした。

やっぱり彼女と過ごす時間はとても好きだな、と実感する。

【今日はありがとう。明日のデート、楽しんできてね】

スタンプと共にメッセージを送信する。

すると鈴ちゃんからは【こちらこそありがとう! 明日の夜電話しても良い?】とすぐに返事が来た。

【もちろん! とっても楽しみに待っておく!!】

また明日、鈴ちゃんと話せる。デートの話を聞ける。

早く聞きたいな、楽しみだな、と思った時、急に目の前に誰かが現れて私は慌ててスマートフォンから顔をあげた。


「悠斗……」

「おう」

右手にサッカーボールを持った悠斗が立っていた。

「……今から自主練?」

なにか話さないと、と思い、見ればわかることを尋ねる。

「おう、来るか?」

小さい頃から、公園で自主練をする悠斗をぼーっと眺めるのが好きだった。
ボールを足や頭で器用に操るのが見ていて面白かった。自分には絶対出来ないから。

同時に、何時間もずっと黙々と練習している悠斗の姿は幼心にもかっこよくて、いつしか彼の練習姿を傍で見ることがとても好きになっていた。

「……うーん、やめておく」

ヘラッと笑うと、悠斗は不思議そうな顔をした。

「珍しいな。用事でもあるのか?」

「いや、用事はないんだけど……」

そろそろ、もう言わないといけない時が来たかな。

……逃げてばっかりじゃ、いられないもんな。

「彼女に悪いでしょ」

意を決して、彼に伝える。

「私が悠斗の彼女だったら、いくら幼馴染でも、二人きりで会っているとか嫌だもん。だから、もう二人で会うのは」

「フラれた」

「え?」

「だから、フラれた」

あっけらかんとした様子で、彼は告げた。

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