きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
一緒にいる時間
二学期に入り、夏休み前よりもわずかに冷たさを含んだ風が、髪の毛を揺らす。

朝練が終わって誰もいなくなったグラウンドを眺めていると、横から「おはよう」と声をかけられた。

「おはよ」

最近はずっと私服ばかり見ていたから、制服姿の宮本くんは新鮮だ。

彼も同じことを思ったのか、「制服で会うって変な感じやなあ」と笑った。


始業式が体育館で行われた後、教室に戻って事務連絡が伝えられる。

どうせ大したことを言わないだろうと先生の話も聞かずにぼんやりと外を眺めていた私は、

「時間も余ったし、新学期ということで、そろそろ席替えでもするかあ」

思いつきのように発せられた言葉に、勢いよく先生へ視線を向けた。

「今、席替えするって言った……?」

聞き間違いだったかもしれない。

慌てて宮本くんに尋ねると、彼も少し驚いた表情で「言った、なあ……」と呟いた。

「うわあ、そうかあ、言ったよねえ」

嫌だなあ。

せっかく窓際の後ろという最高の席だったのに。

次はいつ、こんなにいい席を引き当てられるだろう。

それに。

「寂しくなるなあ……」

ボソッとつぶやいた声は、席替えをすることで盛り上がりをみせるクラスの喧騒にかき消された。


「何番やった?」

先にくじを引いた私が席へ戻るや否や、宮本くんは私の手元を覗き込んだ。

「二十番」

「二十番は……」

二人で黒板に書かれた座席番号を確認する。

「え、今の俺の席やん」

「本当だ、ラッキー!」

二回連続、後ろの席だなんて。

窓際ではなくなるけれど、それでもかなりツイてる。

「お前、運良いねんなあ」

「そうみたい」

得意げに答えると、彼は「逆に、次は俺がお前の席を引いたりして」と笑った。

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