「雄飛くん、優しいね」
「そうかな?」
「昔から、雄飛くんは優しかった。
ここだけの話……未雷くんよりも、雄飛くんの方がモテモテだったんだよ?」
涙を拭い、雄飛を見上げて言った風愛。

「え……」
「みんな、未雷くんの手前言えなかったんだけど……」
「ふうちゃんは?」
「え?」
「ふうちゃんは、最初からライが好きだったの?」

「私は━━━━━━━」

「風愛!!」
「あ、未雷くん!」
話の途中で、未雷が駆けつけてきた。

「風愛、おいで?」
両手を広げる未雷の胸に抱きつく、風愛。

「ごめんな、怖い思いをさせて…」
風愛の背中をゆっくり撫でた。

「ううん。あの、女の人……」
「大丈夫。殺してないよ!
ただ、教えただけ。
俺と風愛が、どれ程の人間かってことを」
見上げて不安そうに言う風愛に、未雷は頬を撫で微笑んだ。

「未雷くんは凄い人だけど、私は凄くないよ?」

「フフ…それは、風愛がわかってないだけ。
風愛、もう帰ろ?
二人っきりになりたい!」
「え?うん…」

もう少し街を歩きたいと思っていたが、未雷の雰囲気に言い返せず頷く、風愛。

「雄飛くん、来てくれてありがとう!
またね!」
小さく手を振る、風愛。

「うん。またね」
雄飛もゆっくり、振り返した。


「…………叶わない恋は、辛いね…」
未雷と風愛の後ろ姿を切なく見つめる雄飛に、青沼が優しく声をかける。

「え……?な、なんだよ…!?」

「風愛ちゃんのこと!ずっと、一途に想ってるのにね!
僕的にはさ!ライより、雄飛の方が風愛ちゃんを“本当の意味で”幸せにできると思うよ!」

「は?」
「ライの愛は、あくまで“一方的な”狂愛。
雄飛なら、本当に相手を思い合って愛することできるだろ?
ライは何もかもが完璧だけど、心がない。
それじゃあ……誰も幸せにできない」
雄飛を真っ直ぐ見て言う、青沼。

「………でも、俺は…ライには、敵わない」
青沼の目を見られなくて、視線を反らす雄飛。



「未雷くん、今日はまだダメだよ」

早く二人っきりになりたいと言われ、近くのホテルにいる未雷と風愛。
「だから!わかってる!
それにキスだけでも、愛し合えるって言ったよな?」

「でも、お家帰ってからで良かったんじゃない?」
「我慢できない。
…………ねぇ、風愛。俺を見て?」
「未雷くん?」
ソファに並んで座り、身体ごと風愛を向いている未雷。
頬を包み込んで、見つめていた。

「ここにいるのは、俺と風愛。
雄飛はいないんだから、俺だけを見て?」


あ……やっぱ未雷くん、気付いてるんだ━━━━━━

私が“まだ”雄飛くんへの想いを完全に絶ちきれていないことを………