毒舌な君の,ひどく甘い素顔
君が分からないその瞬間
あれから一週間が経った昼休み。

女子とはやっぱりギクシャクして,距離感が上手くつかめない。

代わりといってはなんだけど……



「未初!」



今田くんの友達が代わる代わる話しかけてくれるようになった。

仲良くなってみると,やっぱり気さくでとてもいい人達だ。



「おいっ! 突然名前で呼び出したりしたら椛に殺されるぞ!」

「え? 今田くんに? なんで……? 私は別に気にしないよ?」

「あっやっぱり笹原さんそういう感じなんだ」



声をかけてきたのが幸之助(こうのすけ)くん。

それを追うようにして来たのが康平(こうへい)くん。

他にもいるけど,基本はこの二人が私に声をかけてくれる。



「未初」



心臓がドキッと分かりやすく音をたてて,私は振り向く。

あれから今田くんは私を未初と呼ぶ。

慣れなくて,幸之助くんに呼ばれるのと全然違う。



「俺んときと全然違うじゃん? ねぇ未·初?」

「おいっだから……!」



幸之助くんが,私にしか聞こえないように耳元で囁いて,康平くんがまたなにかを咎めるように声をあげる。

またからかって……!

幸之助くんはこういうところがある。

私の気持ちに気付いてるんだ。
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