それでも私は、あなたがいる未来を、描きたかった。

彼の本音

「結果、貼りだされているよ!」

7月下旬、ある日の4限目終わり。

【期末試験、お疲れ様! 今回も理科、よく頑張ったな!】

毎日の課題ノートに書かれた先生のコメントを、ぼんやりと眺めていると、クラスメイトの誰かの言葉が耳に届く。

私はその言葉が聞こえるや否や、教室を飛び出した。

「ねえ、誰が1番?」

「今回もトップ3のメンバーは変わらないかあ」

「うわ、順位、下がっちゃったよ……」

ざわつく人だかりをかき分けて、私は廊下に貼りだされた1枚の表に立つ。


表が見えると同時に、心臓がドクンと大きな音を立てる。

大丈夫、きっと大丈夫……。

私は目を瞑りながら大きく息を吸い込んでゆっくり吐き出すと、覚悟を決めて、表を見た。


「あった……!」

自分の名前を見つけると同時に、私はその場を駆け出した。


「失礼します!!」

挨拶を言い終える前に職員室へ入り、お目当ての人を探す。


あれ……。いない……。
4限目、授業だったのかな……。


ここで待っていたら、いつかは帰って来るだろうけれど……。


「吉川? 誰か探してる?」

探しに行こうか、ここで待っていようか、それともいっそのこと確実に会える終礼の時まで我慢しようか、頭を捻っていると、ちょうど授業を終えて職員室へ帰ってきた中野先生が私に声をかけてくれた。

「あっ、えっと……」

「畑中先生?」

「はい……」

中野先生は、手に持っていたノートを開けると、「さっきまで理科室で授業だったから、理科室にいるんじゃないかな」と教えてくれた。

「ありがとうございます!!」

中野先生に勢いよく頭を下げると、私は「廊下、走ったらだめだよ!」と叫ぶ先生の言葉を背中で聞きながら、全速力で理科室へ向かった。


「先生っっっ!!!!!」

理科室に着いて開いた扉から中を覗くと、教卓でなにかを書いている先生の姿が視界に映る。

4限目に先生の授業を受けていた生徒たちかな。

理科室の中には、まだクラスの半分ぐらいの生徒たちが残っていたけれど、私はためらうことなく叫んだ。

「おお、吉川!? 急にどうした?」

先生は驚きながらも顔をあげて、笑みを浮かべながら首をかしげる。

「先生、あのね」

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